コアラが木にしがみついて休む愛らしい姿には、猛暑から命を守るための重要な理由があった。総合研究大学院大学の渡辺佑基教授によると、この行動はコアラがオーバーヒートを防ぎ、体内の水分を節約するための「必死の熱中症対策」であるという。
木に抱き付くことで体温を逃がす
研究チームは、コアラが暑い日中に、葉が食用にならないユーカリ以外の木にいることを発見した。表面温度を計測したところ、その木はユーカリよりも冷たかった。コアラは暑い日には腕や脚を伸ばして体の表面積を増やし、冷たい木の幹に体を密着させて熱を逃がしている。特に酷暑の日には、食事よりもオーバーヒート回避を優先し、より冷たい木に移動する。
木の表面温度が低い理由
木の表面温度が気温より低いのは、木の重量による熱慣性のためだ。夜間に冷やされた木は、朝日が昇り気温が上昇しても冷たいままである。また、木の表面の水分が気化熱で冷える効果や、地中から吸い上げられる水による冷却効果もある。木の表面温度は高さや種類によって異なる。
水分節約にも貢献
恒温動物にとって、オーバーヒート回避と水分節約は表裏一体だ。コアラが木に抱き付いて熱を逃がすことで、発汗やパンティングによる水分消費を抑えられる。もし冷たい木がなければ、体内の水分を使って体温を下げるしかなく、喉の渇きから命の危険にさらされる可能性がある。
このように、コアラが木に抱き付く行動は怠慢ではなく、暑さに対する環境適応である。渡辺教授は「当のコアラにしてみれば、暑い日に冷たい木に体を密着させてうとうとするのが気持ちいいから、そうしているだけ」と述べている。



