全日空(ANA)と日本航空(JAL)が、国内路線のダイヤ調整に踏み切る。時間帯が重なる便が多い羽田―岡山線について、10月25日からの冬ダイヤで出発時間の間隔を広げる。航空会社の国内路線は、高単価のビジネス需要の減少と燃料費などのコスト上昇で収支が悪化している。両社はダイヤ調整によって利用者の選択肢を広げ、利用拡大を図る狙いだ。
ダイヤ調整の背景と初の事例
公正取引委員会は昨年12月、減便しないなど一定の条件下では、航空会社間のダイヤ調整は独占禁止法上、問題にならないとの判断を示した。国内路線の維持策を検討していた国土交通省の有識者会議の報告書でも同様の内容が明記された。両社のダイヤ調整はこれに沿った初の事例となる。
ダイヤ調整は両社に限らず、今後も広がるとみられる。実施する場合は利用者の利便性を損なうことがあってはならない。顧客利便を第一に考え、進めてもらいたい。
羽田―岡山線の具体的な変更内容
全日空と日航の羽田―岡山線は現在、それぞれ毎日5往復、計20便が運航されている。だが、羽田発の始発便を全日空は午前7時50分発、日航は8時5分発とするなど時間帯が近い便が多い。冬ダイヤではそれぞれ7時25分発、8時20分発にするなど多くの便で出発時間を変更し、運航間隔を広げた。
国内線の現状と今後の課題
新型コロナ禍で大きく減少した国内線の旅客数はコロナ前を上回るまで回復している。オンライン会議の定着で企業の出張が減る中でも旅客が戻った背景には、セールで座席を埋めている実情がある。円安と世界的なインフレも追い打ちをかけ、国内主要6社の国内線事業の営業損益は空港使用料の減免といった公的支援を除くと実質赤字になっている。
有識者会議の報告書は、赤字で路線維持が困難な場合などでは減便も認め得るとした。両社はダイヤ調整にとどまらず、便数調整などについても検討していく姿勢を示している。国内線の維持は、地域住民の利用はもちろん、地方創生や外国人客の地方誘致などにも資する。一方で、全国に広がる新幹線網との競合により、需要が減少している航空路線が出ていることも事実だ。人口減が進む中で、国内の交通ネットワークはどうあるべきか。その将来像も議論を深めるよう求めたい。



