トランプ政権は10日、絶滅危惧種などの保全を定めた「種の保存法(絶滅危惧種法)」の規制範囲を縮小する新規則を発表した。これにより、絶滅危惧種への「危害」の解釈が狭められ、資源開発などの妨げを減らすことが目的とされている。生物保全への深刻な影響が懸念される。
種の保存法と「危害」の定義変更
種の保存法は1973年に制定され、米魚類野生生物局によると、法律の保全対象となる絶滅危惧種や危急種は米国内に約1700種存在する。新規則では、法律で禁じる「危害」の定義から、生息地の状態を変化させて繁殖や採餌を妨げる行為を除外し、直接的な捕獲や採取のみに限定する。これまで生息地の改変は「危害」の一部と解釈され、1995年の最高裁判決でも支持されていた。生息地の改変は国際的にも生物多様性への最大の脅威の一つと認識されている。
変更の狙いと反発
内務省などの発表によれば、変更の狙いは資源開発の促進にある。バーガー内務長官は「過剰な規制が経済成長を阻害している」と述べ、エネルギー開発や鉱業などの活動を円滑化する意図を示した。しかし、環境保護団体は「絶滅危惧種の保護を骨抜きにするものだ」と批判。16州の司法長官が撤回を求めて提訴の動きを見せており、法廷闘争に発展する可能性がある。
生物多様性への影響
専門家は、生息地の改変が絶滅危惧種の生存に不可欠な要素であると指摘する。例えば、マナティーはフロリダ州の海域で生息地の劣化に直面しており、今回の変更で保護が弱まる恐れがある。世界自然保護基金(WWF)の報告によれば、生息地の喪失は全絶滅危惧種の約85%に影響を与えており、今回の措置は国際的な生物多様性目標にも逆行する。
今後の展望
新規則は連邦官報に掲載後、30日で発効する予定だが、訴訟による差し止めの可能性もある。トランプ政権は経済優先の姿勢を強めており、環境規制の緩和は今後も続くとみられる。一方、バイデン前政権下では環境保護が重視されていたため、政権交代によって再び方針が転換される可能性もある。



