徳島県は、南海トラフ地震などの大地震で建物被害による「死者ゼロ」を目指し、県や市町村の補助を活用した耐震診断や耐震改修の検討を呼びかけている。県内の住宅の耐震化率は全国平均を下回っており、耐震診断の活用が課題となっている。
県内の耐震化率は86%、全国平均を下回る
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点で、県内の住宅約30万3千戸のうち、耐震性があるのは約26万1千戸。耐震化率は86%で、全国平均(約90%)を下回っている。
自宅がどの程度揺れに耐えられるか、知る手段が耐震診断だ。県の講習を受けた建築士が「耐震診断員」として住宅の外壁や内装の状態を調べ、倒壊の恐れを判定する。4月時点で364人が登録している。
診断の流れと支援制度
1級建築士の花住俊之さん(50)は8月、1979年に建てられた小松島市の木造2階建て住宅を診断した。住民に改築の有無や時期などを質問し、基礎のコンクリートに鉄筋が入っているか専用の機器で調べたり、屋根裏に上がってはりの状態を確認したりし、記録していく。壁の面積や厚さも踏まえ、震度6強以上の揺れに建物が耐えられるか見極めていた。
診断は長くても2、3時間で終わる。結果は点数化され、倒壊の可能性がある評点1・0未満だった場合、県や市町村が費用の一部を補助し、耐震改修や耐震シェルターの設置ができる。診断員は補強計画を提案し、費用や工期などの相談に乗る。
花住さんによると、2000年以前の建物は柱が金具で補強されていないケースも多く「まずは耐震診断で住居の現状を知る必要がある」と説く。
地震被害と耐震診断の現状
県によると、耐震診断の件数は22、23年度は約460件だったが、24年1月に能登半島地震が発生。24年度は948件と倍以上になったが、25年度は668件に減った。
熊本県によると、熊本地震の住宅被害は全壊1748棟、半壊2892棟など、計6万4903棟(4日時点)に及ぶ。
徳島県の被害想定では、南海トラフ地震では最大5万5700棟が全壊し、発生が冬の深夜の場合、死者は3500人に上る。
県住宅課の佐藤誠二係長は「まずは耐震診断を活用し、支援制度を利用した改修など命を守る対策をしてほしい」と話した。
耐震診断は2000年5月以前に着工した木造住宅が対象で、費用は1棟4000円。無料の市町村もある。申し込みは市町村の担当窓口へ。



