京都の銭湯、小学生無料で若者支援 廃業相次ぐ中、文化継承へ
京都の銭湯、小学生無料で若者支援 廃業相次ぐ中、文化継承へ

2026年は1000年に1度の「おふろ(026)の年」。燃料費の高騰や利用者の減少で廃業が相次ぐ銭湯を支援しようと、京都府と京都市は今年度、小学生以下の入浴料無料化など若い世代をターゲットにした取り組みを強化している。伝統ある京都の銭湯文化を次世代に継承する目的で、効果に期待がかかる。

小学生以下の入浴料を無料化

府と京都市は計1億400万円を予算計上し、1年間限定で小学生以下の入浴料(小学生200円、乳幼児100円)の無料化に踏み切った。

1917年創業の「長者湯」(上京区)は、京都市歴史的意匠建造物に指定されるなど、レトロな趣を伝えている。無料化の影響もあり、最近は家族連れや地域のスポーツ少年団の利用が増えているといい、4代目の間嶋健太さん(43)は「お風呂屋さんの気持ちよさを知ってもらい、大きくなってからも来てほしい」と行政の支援に期待を寄せる。

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キャンペーンや体験会も実施

8月からは府内80か所の銭湯でキャンペーンを実施。小学生以下の利用者に、下京区の会社「ポノス」が開発・運営するスマートフォン向け人気ゲーム「にゃんこ大戦争」のキャラクターステッカーが配られている。

今月26日からは府内の銭湯10か所で、クイズなどを通じてお風呂の文化やマナーを学んだ後、入浴を体験する「こども湯道教室」が開かれる。

銭湯業界の厳しい現状

こうした支援の背景には、銭湯業界特有の事情もある。終戦後のインフレ対策で出された物価統制令が今も適用されており、都道府県知事が上限を決めている。府内の入浴料(12歳以上)の上限は550円で、自由に値上げできない仕組みで、燃料費などの高騰分を転嫁できない格好となっている。

さらに家風呂の普及に伴う利用者減や、老朽化した施設の修繕費用が経営を圧迫。後継者不足も重なり、廃業を選ぶ事業者が相次いでいる。府生活衛生課によると、ピークの1963年末は595軒あったが、8月1日時点で営業している銭湯は83軒となり、約14%まで減少している。

文化と防災の拠点として

府公衆浴場業生活衛生同業組合によると、間口が狭く奥行きのある京町家には、スペースの関係で風呂のない家が多く、昔から銭湯は身近な存在だった。現在も府内の銭湯の9割が地下水を利用し、一部は薪をたいて湯を沸かしている。

近年は災害時における入浴や生活用水の確保先としても注目が集まる。吉本誠理事長は「船岡温泉(北区)や日の出湯(南区)など、建物自体が貴重な場所もある」と文化的な側面についても強調する。

西脇隆俊知事は8月下旬、長者湯を訪れて掃除などの開店作業を体験。松井孝治・京都市長らと座談会を開き、銭湯の現状や今後の展望について意見交換した。

松井市長は幼い頃、他の客から「脱衣所に出るのは体を拭いてから」「周りに水がかからないように」などと教わったといい、「銭湯は公衆道徳を学ぶ場であり、お年寄りと子どもを結ぶコミュニティーにもなっている」と言及。西脇知事は「銭湯は京都を代表する文化の一つであり、世代間交流という意味でも大きい。経営者も積極的に色んなアイデアにチャレンジしてほしい」と話していた。

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