ロシアによる全面侵攻が始まってから24日で4年半となるなか、ウクライナから子どもを連れて日本に避難した母親2人が8月23日、ウクライナ文化の発信と交流の拠点を大阪市内に開設した。場所は大阪市生野区の廃校を活用した多文化交流施設「いくのパーク」で、旧校舎3階の教室だった一室に「ウクライナ文化交流センター ドドム」がオープンした。
避難した母親たちの新たな拠点
2022年にロシアの全面侵攻が始まった際、オリシャ・ギルナさん(40)は長男(15)を、ナタリヤ・デレビヤンコさん(48)は長女(16)と次女(9)を連れて日本に避難した。2人は大阪市の市営住宅で暮らしている。
2人は2024年、他の避難民とともに一般社団法人「ドドム」を立ち上げた。チャリティーイベントを開いてウクライナ文化を発信し、ウクライナの人たちに義援金を送るなどの活動をしてきたが、活動の拠点はなかった。
限られた文化に触れる場
出入国在留管理庁によると、7月末時点でウクライナ避難民1935人が日本で暮らしている。ウクライナ料理店や語学教室は東京などにあるが、日本でウクライナ文化に触れられる場は限られている。
2人は1年ほど前から場所を探してきた。ドドムはボランティアで運営していて予算は限られるため、さまざまな役所に相談し、日本人に名刺を渡すたびに適した場がないか尋ねた。そうするなかで、友人からこの場所を紹介された。
開設式典と今後の活動
開設式典では、参加者約100人がウクライナ国歌を斉唱したほか、民族衣装を着たウクライナの子どもたちが踊りを披露した。部屋には色鮮やかな刺繍を施した民族衣装やウクライナ語の絵本が並べられた。
「ウクライナは戦争のイメージが付いてしまったが、おいしい料理も、楽しい祭りも、美しい伝統もある。そのことを知ってほしい」とオリシャさんは話す。ウクライナ避難民の生活を支援してきたという日本人男性(55)は「日本ではウクライナへの関心や支援がだんだん下火になっているように感じていた。ここで交流を育むことで、もっと活発化してほしい」と話した。
センターでは今後、ウクライナに関する展示会やウクライナ語を学べる教室、ペトリキウカ(ウクライナの伝統的な絵)を描けるワークショップなどを定期的に催す予定だ。
センター開設の背景には、今も戦争が続いている現実がある。ナタリヤさんの夫はキーウ近郊の街で暮らし、息子(24)は兵士として戦場にいる。発電所も爆撃された。祖父母については記事の続きで詳しく報じられている。



