サッカー日本代表の三笘薫選手(29)が運転する乗用車と自転車が出合い頭に衝突した事故で、現場に設置されていた「歩車分離式信号」の危険性が浮き彫りとなった。三笘選手は「歩行者の信号が青になったことに気を取られ、発進してしまった」と説明しているという。
事故の概要と現場の状況
事故は7月8日午前8時45分ごろ、東京都板橋区の十字路交差点で発生。捜査関係者によると、三笘選手の車と女性(48)が乗る自転車が、いずれも赤信号のまま交差点に進入。車の右側面に自転車が衝突し、女性は左手に約2週間のけがを負った。
現場は歩行者と車両の通行時間を分ける「歩車分離式信号」が設置された交差点。この方式は安全性向上を目的に導入されているが、今回の事故では逆に「うっかり事故」のリスクを露呈した。
歩車分離式信号の仕組みとリスク
歩車分離式信号では、車両用信号と歩行者用信号が異なるタイミングで青になる。しかし、三笘選手のように歩行者用信号に気を取られ、自車の信号が赤であるにもかかわらず発進してしまうケースが問題となっている。
記者が10日午前に現場を訪れたところ、交差点付近はマンションや商店が立ち並び、近くの幹線道路へ出ようとする車で渋滞が発生。交差点内に車が滞留する場面も見られた。また、左右の見通しが悪く、車や歩行者の間を縫うように自転車が行き交う危険な状況が確認された。
専門家の指摘と安全対策の課題
立教大学教授の倉田徹氏は「信号が分かりにくいという説明は当たらない。車両用信号が明確に赤だったのに、歩行者用信号を見て発進する行動を正当化する要素は見当たらない」と指摘し、運転者の不注意を強調する。
一方、弁護士の明石順平氏は「私の通勤路にも歩車分離式信号があるが、歩行者信号が青になったのを見て誤発進する車を何度も目撃した。信号の見間違いは実際に起こり得る」と述べ、システム側の改善も必要だと示唆する。
今後の課題と対策
歩車分離式信号は全国で導入が進むが、今回の事故を機に、運転者への注意喚起や信号の視認性向上など、さらなる安全対策が求められる。警察は事故の詳しい原因を調査中で、今後の再発防止策に反映させる方針だ。



