リチウムイオン電池火災が36%増、モバイルバッテリーが4割占める
リチウムイオン電池火災36%増、モバイルバッテリーが4割

今年1~8月、東京都と全国の18政令市の消防管内で、リチウムイオン電池による火災が少なくとも前年同期比36%増の580件発生したことが、読売新聞の調査で分かった。熱に弱いため暑い時期に発火することが多く、ファン付き作業服から出火したケースもあった。

政令市では前年比1.5倍のところも

読売新聞は東京都と20の政令市の消防に対し、今年と昨年の1~8月のリチウムイオン電池による火災件数を問い合わせた。名古屋市と静岡市を除く18市から回答があり、集計の都合上、6月や7月までの件数を回答した市もあった。

東京消防庁によると、東京都内では今年6月末までに230件発生し、前年同期比は1.5倍。大阪市消防局の集計では、今年7月末時点で60件で、昨年1年間の60件に既に並んでおり、昨年を大きく上回りそうだ。横浜市では8月末までに55件(前年同期43件)、神戸市では26件(同18件)確認された。

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出火増の背景とモバイルバッテリーのリスク

総務省消防庁によると、全国の年間出火件数は2022年に601件だったが、年々増え続け、昨年は1297件となった。経済産業省は、リチウムイオン電池を搭載した製品が普及し、様々な用途で使われるようになったためとみている。

大阪市では7月、ファン付き作業服に内蔵されたリチウムイオン電池が原因とみられる出火があった。大阪府警福島署と大阪市消防局によると、7月24日午前、同市福島区のマンション入り口付近で、宅配会社勤務の30歳代男性が荷物を配達中、ファン付き作業服から発火し、男性は軽傷を負った。

製品評価技術基盤機構(NITE)によると、リチウムイオン電池は熱や衝撃に弱く、電池内の温度が上がると発火のリスクが高まる。21~25年の月別の事故発生件数の累計では、8月が最多だった。

製品の中ではモバイルバッテリーの出火が目立ち、昨年は出火全体の約4割(482件)を占め、最多だった。8月8日には大阪市北区の大阪メトロ御堂筋線中津駅に停車中の電車内でモバイルバッテリーが発火し、20歳代女性が負傷。東京都品川区では5月、東急池上線旗の台駅でも電車内で乗客のバッテリーが燃え、隣にいた60歳代女性が軽いやけどを負った。いずれも一時、運転を見合わせた。

国内で流通するモバイルバッテリーの大半は中国製だ。出火原因として、電池の製造時に電極の巻きがずれていたり、異物が混入したりするケースが多く確認されている。

政府の対策と安全な使い方

経済産業省は粗悪品を見つけるためネットパトロールを実施している。同省製品安全課の積田北辰課長は「発火や発煙のリスクがある製品の流通を食い止め、消費者が安心して購入できるよう取り組みを進める」と話した。

消防庁や消費者庁、経済産業省などは6月、合同で「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」を開設し、購入時、使用時、捨てる時の注意点をまとめている。

購入時には、安全性の基準に適合することを示す「PSEマーク」の表示がある製品を選び、リコール対象ではないかも確認する。本体メーカーとは別の「非純正品」で主に出火しており、本体メーカーのサイトなどで注意喚起されていないかチェックする。

使用時は、▽強い衝撃は厳禁▽高温を避ける▽目の届く場所で充電する――を意識する。膨らんだり充電中に発熱したりすれば危険なサインという。出火した場合、延焼の危険がなければ、火の強い段階では近寄らず、収まってから消火する。再出火のリスクがあるため、小型の製品であれば水をためたバケツなどに水没させる。

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捨てる時は、一般ごみや不燃ごみに混ぜるとごみ収集車やごみ処理施設で発火するリスクがあるので避け、廃棄方法は自治体によって異なるため確認する。大阪市では市内10か所の回収ボックスがある市の施設に持ち込め、訪問回収も行っている。神戸市では市内74か所で回収。大津市では月に一度の瓶を捨てる日に合わせ回収している。充電式電池のメーカーなどでつくる一般社団法人「JBRC」も全国の家電量販店などで回収している。