岩手県花巻市を流れる北上川の西岸で、宮沢賢治がドーバー海峡の白亜の海岸にちなんで「イギリス海岸」と名付けた泥岩層が、少雨による水位低下で再び姿を現した。国の名勝「イーハトーブの風景地」の一部で、普段は川底に沈んでいるが、7月8日に出現したことが花巻市の発表で明らかになった。
少雨でダム枯渇の恐れも
気象庁の観測によると、花巻市の7月の降水量は10日現在で10ミリ以下。この少雨により、上流のダムの貯水量が減少し、川の水位が低下した。昨年も少雨でダムが枯渇しかけたが、今年はそれをさらに下回る降水量となっている。
賢治の生きた時代と異なり、現在は上流に複数のダムが整備され、水量が安定しているため、イギリス海岸が自然に現れることはまれになっている。今回の出現は、その貴重な機会となった。
毎年9月に水位調整も成功は半分
花巻市は2008年以降、賢治の命日である9月21日に合わせてイギリス海岸を公開するため、ダム管理者の協力で水位を調整している。しかし、増水などで調整ができない年もあり、これまでに成功したのは約半数にとどまる。
イギリス海岸一帯は水辺公園として整備され、賢治ゆかりの観光スポットとして人気を集めている。今回の自然出現は、観光客にとっては予期せぬ見どころとなった。



