20年親しまれた岩美町のボンネットバス、11月15日に運行終了へ
20年親しまれた岩美町のボンネットバス、11月15日に運行終了

鳥取県岩美町で20年にわたり住民や観光客を運んできた町のボンネットバスが、老朽化と利用者減のため11月15日に運行を終える。「ノスタルジックな町の風景に合う」と導入され、多くのファンに愛されたレトロなバスが惜しまれながら姿を消す。

昭和の面影を残す車両、維持費は年間60万~200万円

車体前部に突き出たボンネットが特徴で、昭和10~40年代に全国で見られた。町は2006年、「いすゞ自動車」が1965年に製造した「BXD30型」を、福山自動車時計博物館(広島県福山市)から541万円で購入。全長816センチ、全幅249センチ、全高291センチで、座席は27ある。緑と白を基調とした内外装や木の床は風情たっぷりだ。

町は維持管理費として毎年60万~200万円を負担し、日本交通(鳥取市)が運行している。当初は鳥取駅と岩井温泉を結び、鳥取砂丘や浦富海岸を経由する1日2往復の路線バスだった。2009年からは山陰海岸ジオパークの写真のラッピングを施し、兵庫県新温泉町までの路線も加わった。

ツアー運行へ転換、昨年は7回が中止に

その後車両の劣化が進み、15年からはツアーバスとして運行する。ツアーは、人気アニメ「Free!」のロケ参考地とされる荒砂神社やJR岩美駅を巡るファン向けと、JR東浜駅や岩井温泉を巡るバス愛好家向けを中心に毎年10回ほど実施してきた。昨年までに延べ1万513人が利用した。

しかし昨年予定していた10回のうち7回が、最少催行人数(10人)に届かず中止となった。補修部品の入手も困難になり、町や日本交通などで作る協議会が運行の取りやめを決めた。

ラストラン前に注目再び、記念イベントも

運行終了が決まってからは、再び注目が集まっている。ラストランに向けた今年のツアーは今月から始まり、全5回のうち3回が満席となった。今月31日には、停車中の車両を見学できるイベントがあり、浦富海岸・島めぐり遊覧船のりば(午前10時~正午)と町中央公民館(午後1~3時)で楽しめる。

ラストランの11月15日午後3時45分頃からは、JR岩美駅でセレモニーが開かれる。町商工観光課の植木友子さんは「町の風景とともに、多くの方の思い出に残ったバス」と言い、「運行を通じて町の魅力を多くの人に知ってもらい、観光振興に貢献できた。ぜひ最後に走る姿を見届け、沿道で見かけた際には手を振ってほしい」と呼びかけている。