記録的な大雨で住宅の浸水被害が大きかった氷見市で30日、公的支援を受けるために必要な罹災証明書の申請受け付けが始まった。市役所には午前9時から住民らが次々と訪れ、市税務課によると午後4時までに232件の申請があった。
罹災証明の申請受け付け始まる
床下浸水の場合、住宅を撮影して印刷した写真で「一部損壊」と判定し、現地調査を省略して証明書を交付する。床上浸水や土砂崩れの被害では、現地調査で被害程度を判定した後、証明書が交付される。
氷見市幸町の会社員、足立幸雄さん(63)は床下浸水した自宅や倉庫の写真を持参した。証明書の申請後、「後片付けに追われ、洗濯機なども水没して困っている」と話した。
申請者の多さから、待つのを諦める人の姿もあった。自宅が深さ約50センチまで水につかったという同市園の50歳代男性は午前11時頃に市役所を訪れたが、待機者が多いと伝えられて引き返し、「午後2時半に来ます」といったん帰宅した。同市七分一の70歳代男性は床下浸水した自宅の写真を持っておらず、申請できず、「自宅に流れ込んだ土砂や、水没した電化製品を家の外に出すだけでも手いっぱいなのに……」と肩を落とした。
孤立地区でドローンによる物資輸送
30日午後5時現在で、3地区の22世帯31人が孤立する氷見市では、孤立地区につながる道路上の土砂の撤去などが進められている。上原地区につながる道路では29日夜、土砂崩れが起きて新たに3世帯4人が孤立状態に。味川地区は状況を調査中で、床鍋地区は土砂流入の規模が大きく、解消に10日以上かかる可能性もある。熊無地区の孤立は30日夕、解消した。
床鍋地区には30日、支援物資がドローンで運ばれた。柳原栄信区長(71)は届いた袋を開け、4日ぶりに新聞を手にして、「支援はありがたい」と語った。一方、長引く孤立状態に「レトルト食品などの非常食ばかりで飽きがきているし、どこにも行けないのでストレスはたまる」とも漏らした。
住民の不安と被害の広がり
氷見市万尾の自動車修理工場「カードック堀川」では30日午後、堀川昇社長(79)と親族ら約10人が、敷地内や事務所の泥をかき出したり、水没した家具や書類を処分したりする作業に追われていた。堀川さんによると周辺では、一時1メートル以上まで水位が上昇。事務所のソファは水に浮き、工場にある溶接機などの機械は水没した。修理を依頼されていた車約10台も浸水し、弁償の必要があるという。堀川さんは「借金に借金を重ねないといけない」とため息をついた。
県によると、30日午前10時現在で、氷見、高岡両市の住宅185棟が床上浸水し、両市と立山町の431棟で床下浸水の被害が確認された。
氾濫した上庄川のそばにある氷見市幸町の倉庫では、2024年の能登半島地震での被災家屋から回収した木材を再利用する活動を行う団体「氷見古材ノットワーク」の会員らが、水没した木の板を洗浄した。板を保管していた倉庫は約30センチ浸水し、板も60~70枚が水没した。この日は学生や市民のボランティアなど約15人が、泥が付いた板にホースで水をかけ、ブラシでこすった。副会長の吉田英文さん(40)は「みんなで話をしながら作業をすると、一人でいるより不安が和らぐ」と話した。



