救急患者を搬送するドクターヘリの運航見直しが議論になっている。整備士が不足し、運航停止が相次ぐ事態を受け、国は緊急的な措置として整備士の代わりに操縦士を同乗させる「2パイロット制」での運航を可能にした。救急医療搬送体制を維持するための「苦肉の策」といえるが、業界団体は安全性に懸念を示しており、安全確保と安定運航の両立が課題となっている。
整備士不足で運航停止が相次ぐ
ドクターヘリの運航について、厚生労働省は平成30年の通達で整備士の同乗を規定。しかし令和7年度に、関西広域連合管内の8府県と東京、長野の計10府県で運航を担っていた学校法人都市航空大学(静岡市)で整備士が不足し、各地で運休する事態となった。
操縦士が整備士の業務を担う緊急措置
ドクターヘリの整備士は5年以上の実務経験などが必要とされる。運航事業者の確保が困難な中、一部地域では通年運航ができない状態が続いており、厚労省は今年3月、各都道府県に運航見直しの通達を出した。
通達では、操縦士が点検や整備を受けることで一定の整備士業務を担い得ると言及。都道府県などが必要と認める場合、安全運航の確保に十分留意しつつ、救急医療関係者と連絡の上、緊急的に「整備士に代わって操縦士を同乗者とすることは差し支えない」とした。