若年性認知症のシングルマザー、前向きになれたきっかけは「前向きな当事者との出会い」 和歌山で講演
若年性認知症のシングルマザー、前向きになれたきっかけ 和歌山で講演

「世界アルツハイマーデー」「認知症の日」(9月21日)にちなみ、認知症の当事者として講演活動を行っている一般社団法人「日本認知症本人ワーキンググループ」代表理事・山中しのぶさん(49)(高知市)が23日、和歌山市内で講演した。

診断から現在までの歩み

山中さんは2019年に若年性認知症と診断された。現在は、認知症の人らが対象のデイサービスを経営し、同法人で当事者の声を政策に反映させる活動も行っている。

山中さんは講演で、診断される数年前から「時間の感覚を忘れる」不調が始まっていたと話した。約束の時間に間に合うよう逆算して行動することや複数の予定を管理することが難しくなったという。

当時の不安と転機

当時、シングルマザーで3児を育てており、「息子のことをすぐに忘れてしまうんじゃないか」と不安にさいなまれたという。インターネット上の「11年が寿命」といった誤情報にも振り回され、約2年家に引きこもった。

転機は前向きに生きている当事者との出会いだった。「私もこういう人生を歩みたい、今を生きたい」と思えるようになったという。家族が悩みがちな当事者との接し方については「(当事者が)できないことより、できることを生かしてほしい。できるということを信じて」と訴えた。

講演会の様子

講演は県が主催し、公益社団法人認知症の人と家族の会県支部が運営。会場には当事者ら約150人が集まった。5年前に軽度認知障害と診断されたという和歌山市の女性(78)は「カミングアウトした友人はみんな助けてくれるけど近所には言えない。こういう場があると、私たちだけじゃないんだと希望になる」と笑顔を見せた。