自民党の簗和生農林水産相が、選挙で自身を応援しなかった首長の自治体予算を「カットした」と発言した問題で、国土交通省は簗氏からの予算の問い合わせに関する記録は作っていなかったと説明している。簗氏、国交省とも予算減額の働きかけはなかったと主張するが、記録がないため有無を検証できないことになる。
事務方トップに報告したが文書はなし
焦点になっているのは、栃木県那須烏山市、那珂川町に国から配分された、道路整備などに使われる2026年度の社会資本整備総合交付金だ。
国交省の説明によれば、配分額を決める「箇所付け」の検討最中の2月中旬、当時自民党の筆頭副幹事長だった簗氏が、国交省の佐々木紀副大臣、黒田昌義官房長(いずれも当時)に配分額を問い合わせた。黒田氏は簗氏と議員会館で面会した後、事務方トップの事務次官とナンバー2の技監に報告した。4月に予算が決まった後、佐々木氏が簗氏に配分額を伝えた。
いずれの面会も、文書の記録は残しておらず、正確な日付もわからないという。黒田氏は省内の聞き取りに対し、2月の面会時は26年度の配分額決定前だったため「この場では分からない」として過去の配分額を伝え、担当の道路局には簗氏の問い合わせのことは伝えなかった、と説明。「はっきり覚えていないくらいだから働きかけや圧力はなかったと思います」と話しているという。
影響否定も証言頼み
簗氏も国交省への問い合わせ内容について「明確に覚えていない」「記録が残っていない」などと説明している。
内閣府の行政文書の管理に関するガイドラインは、意思決定に至る過程などを検証できるよう文書の作成を求めるが、「事案が軽微なもの」は例外として認めている。国交省は、簗氏との面談記録を残さなかった理由について「単なる紹介や問い合わせの応答は軽微なもの。行政文書を作成しなければならない対象とはされていない」と説明している。
ただ、記録がないことは疑念を払拭するには十分ではないとの指摘もあり、今後の検証が課題となる。