マスク氏が体現する危うい時代精神、民主主義はサイボーグに敗れるか スロボディアン教授が語る
マスク氏が体現する危うい時代精神 民主主義はサイボーグに敗れるか

私たちが生きている時代の本質を指し示す21世紀の「時代精神」の体現者こそ、大富豪であり人工知能(AI)の旗手であるイーロン・マスク氏だ――。米ボストン大学のクィン・スロボディアン教授はそう論じ、民主主義を根底から覆しかねない危うさを見て取る。どう対峙(たいじ)すべきなのか。

「マスキズム」と「フォーディズム」の対比

スロボディアン教授は、マスク氏が象徴する時代精神を「マスキズム」と呼び、自動車王フォードの「フォーディズム」と対比する。大量生産の工場から民主的な大衆消費社会を生んだフォーディズムとの違いについて、教授は「フォードは労働者階級との間で社会的合意を見いだしていました。巨額の収益を賃金の向上につなげ、労働者もいずれ、その製品を自ら買うことができるようにする仕組みです」と説明する。

その上で「激烈な産業資本主義に一定の制約をかけ、福祉国家と言われるような家族的な空間の枠にはめ込んでいた。マスク氏には、こういう前向きな社会契約はありません」と指摘する。

「技術による支配」とマスク氏の狙い

では、マスク氏には何があるのか。教授は「『技術による主権(支配)』です。彼は恐怖、脅威、文明の衰退を思い起こさせる言葉を発信し、解決策として人間と(AIなど)機械との融合を提案する。そして、自動化技術に基づく彼の製品やサービスを個人や国家に売り込むのです」と述べる。

マスク氏の狙いについて、教授は2015年にマスク氏が設立した非営利団体の活動に言及し、その意図を分析している。

朝日地球会議2026での議論

朝日地球会議は、23、24日に東京で米トランプ政権や米中関係、気候変動などをテーマにしたセッションをリアル開催する。会場参加の申し込みは14日午後2時まで。スロボディアン氏や米テック業界に詳しいカーラ・スウィッシャー氏のインタビューはオンラインで11月2日から配信される。

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