職場での嫌がらせが従業員の生産性に深刻な影響を与えていることが、厚生労働省の委託調査で明らかになった。調査によると、嫌がらせを受けた従業員の約7割が業務効率の低下を経験しており、企業全体の生産性向上の妨げとなっている。
嫌がらせの実態と影響
調査は全国の従業員2000人を対象に実施され、約3割が過去1年間に何らかの嫌がらせを受けたと回答。嫌がらせの種類では、パワーハラスメントが最も多く、次いでセクシャルハラスメント、モラルハラスメントが続いた。被害者のうち、約65%が「仕事への意欲が低下した」と答え、約45%が「欠勤が増えた」と報告している。
さらに、嫌がらせによるストレスが原因で、約20%が転職を検討したことがあると回答。企業にとっては、優秀な人材の流出リスクも無視できない。
企業の対策と課題
調査では、企業の約6割がハラスメント防止のための研修を実施していると回答したが、効果を実感しているのはそのうちの約3割にとどまった。専門家は「研修の内容が形骸化しているケースが多い。実践的な対応策を盛り込む必要がある」と指摘する。
一方、被害者への相談窓口を設置している企業は約8割に上るが、実際に利用した被害者は約2割未満。相談しても状況が改善しないという不満の声が多く、より効果的なサポート体制が求められている。
経済的損失と今後の展望
嫌がらせによる生産性低下は、経済的損失にもつながる。ある試算では、年間約1兆円の損失が生じているとのデータもある。企業は、コンプライアンスの徹底とともに、従業員のメンタルヘルスケアを強化する必要がある。
厚生労働省は、2023年度からハラスメント防止に関するガイドラインを改訂し、企業の取り組みを促進する方針だ。具体的には、被害者支援のための第三者機関の設置や、加害者への厳格な処分を求める内容が盛り込まれる見通し。
調査責任者は「嫌がらせは個人の問題ではなく、組織全体の課題として捉えるべきだ。経営トップのコミットメントが不可欠」と強調している。



