日本人にA型が突出して多い一方、韓国ではその分布が全く異なる――。この地域差の背景には、人類の進化と適応の歴史が刻まれている。大阪大学名誉教授の深瀬浩一氏は、血液型の分布が感染症への感受性の違いによって形成されたと指摘する。本記事では、深瀬氏の解説をもとに、血液型にまつわる3つの豆知識を紹介する。
血液型分布の地域差とその謎
日本ではA型の割合が約40%と突出して高いが、韓国ではA型とB型がほぼ同程度で、O型も多い。世界的に見ると、血液型の割合は地域によって大きく異なる。深瀬氏によると、この偏りは「人類が長年にわたり生き残りをかけて闘ってきた感染症」の影響によるものだという。特定の感染症に対して抵抗力を持つ血液型が、その地域で長期間流行した病原体によって自然淘汰され、数千年から数万年かけて分布が形成されたと考えられている。
最初の血液型はA型のみだった
分子生物学の分析により、最初に誕生した人類の血液型はA型のみだったことが判明している。しかし、もし人類がA型だけだった場合、A型にリスクの高い感染症が流行すれば人類は滅亡していた可能性がある。深瀬氏は「命を奪う感染症に罹りにくい血液型が生まれたことで、人類は存続できた」と説明する。例えば、O型はある種の感染症に対して発症率が66%低いというデータもある。
血液型の遺伝パターンのカラクリ
血液型はA、B、Oの3種類の対立遺伝子の組み合わせで決まる。同じA型でも、遺伝子構成がAAとAOの2通り存在する。両親の血液型から子供の血液型を予測する法則はよく知られているが、深瀬氏はその仕組みを詳しく解説している。例えば、両親がともにA型の場合、子供はA型かO型になる。一方、父親がA型で母親がB型の場合、子供はA型、B型、AB型、O型のいずれも可能性がある。
血液型と病気リスクの関係
血液型によって感染症や疾患のリスクが異なることが近年の研究で明らかになっている。深瀬氏は「O型はコレラやピロリ菌に罹りやすいが、新型コロナウイルスには強い」と指摘。また、O型は世界で約100万人が命を落とすある病気の発症率が66%低いというデータも紹介している。このような知見は、個人の健康管理に役立つ可能性がある。
血液型の進化から見える人類の歴史
血液型の地域差や遺伝の仕組みを理解することは、自身の体質への関心を深めるだけでなく、人類の祖先の移動や適応の歴史を考えるきっかけとなる。深瀬氏は「血液型に刻まれた進化の歴史を知ることで、私たちのルーツについて新たな視点が得られる」と述べている。



