和歌山県は部落差別への対策を強化するため、外部有識者による新たな会議体を設置する方針を固めた。12月の県議会定例会に関連条例の改正案を提出する予定で、都道府県レベルで部落差別解消に特化した有識者会議を設置するのは異例だ。
新たな有識者会議の設置と条例改正の内容
県は2020年に「部落差別解消推進条例」を施行し、有識者らで構成する「人権施策推進審議会」の意見を参考に、部落差別をした事業者への行政指導などを行ってきた。2023年には条例を改正し、身元調査などをした事業者に対する勧告などの規定を盛り込んでいる。
県が把握した被差別部落への差別的行為は2020年度の23件から減少傾向にあるものの、2025年度も9件あり、県は対策の強化を決定。条例を改正し、知事の諮問機関「部落差別解消推進委員会(仮称)」を新設する。部落差別問題に詳しい外部の専門家が委員を務める。
ネット上の差別投稿への対応強化
条例改正では、県がインターネット上で差別的な内容の投稿を見つけた場合、サイトの運営事業者に投稿の削除を要請することなども明記する方針だ。
県はこれまでネット上をパトロールし、差別的投稿を見つけた場合に削除要請をしてきたが、事業者が実際に対応した「削除率」は2023年度の55.8%から、2024年度43.2%、2025年度24.1%と低下している。条例への明文化で要請に重みを持たせ、削除率を高めたい考えだ。
宮崎泉知事は18日の県議会本会議で、「いまだにネット上で多くの差別的投稿が発生するなど、状況は深刻と認識している。今後も部落差別は絶対に許さないという強い信念を持ち、解消に向けて全力で取り組みたい」と述べた。
県は10月17日まで、条例改正についてのパブリックコメント(意見公募)を行っている。