福岡県警地域総務課の福田隆和警部補(57)は、職務質問の分野で優れた技能や知識を持つ警察庁指定広域技能指導官に、九州・山口・沖縄で唯一指定されている。闇バイトが絡む強盗事件が各地で相次ぐ中、警察当局は職務質問を強化しており、福田警部補は「警察の声かけが悲惨な事件や事故を防ぐための一助となる」との思いで後進の育成に力を注いでいる。
約20年前の忘れられない事件
約20年前、未明に福岡市内をパトロールしていた際、自動販売機の前で座り込む男がいた。服装を見て「ホームレスかな」と思ったが、近づいて声をかけると「お金を拾っている」と答えた。しかし、男から体臭がしないことに違和感を覚えたという。
男のリュックには電気ドリルやドライバーが入っており、上着の下に着ていたベストの10か所のポケットからは、ドアのすき間に差し込んで内側の鍵を開けるための金具が見つかった。「職務質問されないようにホームレスを装った」と男は供述し、出店荒らし76件を繰り返したことを自供。被害総額は約1300万円に上った。
見かけで判断しない重要性
福田警部補は、見かけで判断せず、相手の反応や違和感に感覚を研ぎ澄ますことの重要性を実感したという。1992年に警察官になり、剣道の特別訓練員として機動隊に所属。2003年に東署へ異動し地域警察官となった34歳の時に、現場で初めて職務質問を経験した。
2004年に自動車警ら隊へ移り、実践の機会はさらに増えた。慣れない頃は、暴力団員から「何で俺に声をかけるんだ」などと罵声を浴びせられ、言葉をうまく返せないなどの失敗も多く経験した。福田警部補は現在、若手警察官らに職務質問の心構えを伝える活動に取り組んでいる。



