ルフィグループはなぜここまで凶悪化したのか。取材を重ねた栗田シメイ氏が彼らの素性を語る。ライターの佐藤隼秀氏が、22歳で闇バイトに走った「伝説のかけ子」の生い立ちや、獄中で綴られたグループの全容を詳報する。
企業さながらの犯罪組織の運営実態
栗田氏によれば、渡邉をトップにした犯罪組織の運営は「テレアポの会社」に似ているという。テレアポと同様、本部にマネージャー的なセンター長がおり、各営業部署には社員を管理指導するリーダー、その下にオペレーターが配置される。特殊詐欺集団も構造は近く、小島や藤田のような幹部が人事・総務・経理を担い、「箱」と呼ばれる拠点と連携。各拠点の「箱長」がかけ子に指示を伝える。かけ子の中でも階層があり、警察官を装って電話をかける「1線」、暗証番号や個人情報を引き出す「2線」、現金引き出しを指示する「3線」と分かれていた。
こうした企業的な体制に加え、就業規則やマニュアル、詐欺のロールプレイングを徹底することで、渡邉は現場に介入しなくても運営が回っていた。小島は「渡邉をトップとした箱が時期により3~5つあったうち、ひとつはフランチャイズのような存在だった」と話しており、犯罪組織の収益が膨らむ土壌が出来ていた。
組織トップの常軌を逸した生活
元締めの渡邉には全体の30~40%ほどの金額が入ってきたとされ、現地では常軌を逸した暮らしを送っていた。BMWシリーズなどの外車を乗り回し、カジノでは1日2億円近くをつぎ込み、1泊160万円のスイートルームに宿泊していたという。
組織を破滅に追い込んだ女フィクサー
グループの命運は、渡邉と偽装結婚していたフィリピン人女性「ミカ」が握っていたとされる。ミカは現地の警察や政治家、入国管理局に強いコネクションを持ち、フィクサー的な立場で組織を支えていた。渡邉はミカを通じて政治家に賄賂を送り詐欺行為を黙認させ、詐欺拠点の不動産をミカ名義で契約し、帰国メンバーのビザを手配してもらうなど、事あるごとに彼女を頼った。
詐欺拠点が摘発された際には、拘束されたメンバーを釈放するため、ミカに保釈金を渡して現地当局との交渉を託していた。しかし次第に、拠点を移しても摘発が相次ぎ、そのたびにミカは数千万から億単位の保釈金を無心するようになる。パイプとして機能していたミカに裏切られ、カモにされていた形だ。
渡邉ら幹部がフィリピンのビクータン収容所に拘束されていた頃には、ミカからの連絡は滞り、それが広域強盗事件に発展する契機にもなった。



