障害者福祉の事業所で働く16歳の少女が利用者への暴行を疑われ、逮捕・勾留された。計18日間に及ぶ身体拘束の後、不起訴となったが、精神的ショックから摂食障害を発症。約半年後に低栄養状態で死亡した。死亡直前の体重は20キロを下回るほどだった。遺族は、暴行の申告自体が虚偽で逮捕の要件さえ満たしていないとして、警察や検察の違法捜査を主張し、国家賠償請求訴訟を起こした。
バレンタインイベントでの逮捕
「なにもしてないのに。ママのご飯が食べたい。ママに会いたい」――留置場でつづられたノートには、涙のにじんだ跡があった。
兵庫県在住のるなさん=仮名=は中学卒業後、母親が理事長を務めるNPO法人の福祉事業所で働くようになった。大好きな母親と同じ障害者支援の仕事を、自らの生きる道に選んだ。
昨年2月15日、事業所のバレンタインイベントで、利用者がチョコレート作りに挑戦したときのこと。訴状などによると、重度の知的障害がある利用者が不機嫌になり、隣の人にかみつこうとした。男性スタッフが制止し、るなさんは利用者を落ち着かせるため、お菓子を口まで運んで食べさせた。イベントはその後、何事もなく終了した。
18日間の身体拘束と不起訴
それから約4カ月たった6月17日午前7時、事業所にいたるなさんのもとに兵庫県警の警察官が多人数で訪れ、任意同行を求められた。ちょうど母親の不在時で、るなさんは警察署に連行され、暴行容疑で逮捕された。
逮捕容疑はバレンタインイベントの当日、利用者の顎を、複数回手のひらで押さえつけたというものだった。
るなさんはその後、計18日間に及ぶ身体拘束を受けたが、不起訴となった。しかし、精神的ショックから摂食障害を発症し、約半年後に低栄養状態で死亡した。死亡直前の体重は20キロを下回るほどにまで減少していた。
遺族の主張と国家賠償請求訴訟
遺族は、暴行の申告自体が虚偽で逮捕の要件さえ満たしていないとして、警察や検察の違法捜査を主張し、国家賠償請求訴訟を起こした。
取材に応じた母親は、無念さを訴えた。捜査のずさんさが少女の命を奪ったとの認識を示している。



