最高裁判所第三小法廷(林道晴裁判長)は23日、国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だとして、利用者らが減額決定の取り消しなどを求めた4件の訴訟で、引き下げを違法と判断し、減額決定を取り消す判決を言い渡した。利用者側の勝訴が確定した。
生活保護費の削減とデフレ調整
国は2013年以降、生活保護費を約670億円削減した。生活保護費のうち、食費などの生活費にあたる「生活扶助」の基準額は、3年間で平均6.5%、最大10%引き下げられた。物価の下落に合わせて保護費を減らす「デフレ調整」が、減額の主な理由とされた。
全国で31件の訴訟、先行判決に続く判断
利用者らが引き下げの違法性を訴える訴訟は、全国29地裁で31件起こされた。第三小法廷は2025年6月、先行した同種訴訟2件の判決で減額決定を取り消している。この判決は、デフレ調整をする際に「物価下落のみ」が指標とされ、消費動向などを考慮しなかったことは、専門的知見との整合性を欠くと指摘。厚生労働相に「裁量の逸脱や乱用があった」と判断した。一方、国の賠償責任は認めなかった。
4件の訴訟の経緯と上告審
23日に判決が言い渡された4件の訴訟は、秋田、神戸、佐賀、熊本の各地裁に起こされたもの。4件の高裁判決は、減額決定を適法だと判断していた。利用者側がこれを不服として最高裁に上告した。9月には最高裁で弁論が開かれ、利用者側は2025年の最高裁判決から「さらに一歩踏み込んだ判断をしてほしい」などと訴えていた。