今夏の富士山開山期に、天皇陛下が皇太子時代に登られた「プリンスルート」が登山者の人気を集めたことが、環境省の集計などで分かった。混雑する登山道の危険が指摘される中、比較的すいている静岡県側の御殿場ルートへ抜けるこの道は、混雑を回避できるのが魅力となっている。
混雑を避けたい登山者に支持
閉山を控えた9月4日、親子で登っていた大阪市北区の会社員(53)は「混雑を避けられると思い、このルートを選んだ」と話した。多くの登山客でにぎわう静岡側の富士宮口から登山を開始し、6合目で右に曲がって宝永火口のわきを通り、御殿場ルートに入って山頂を目指した。
この道のりは2008年に皇太子だった天皇陛下が通られたことから「プリンスルート」と呼ばれている。標高の高い位置に登山口がある富士宮ルートから御殿場ルートに合流するため、山頂までの標高差が小さく、登りやすいという。
御殿場ルートの登山者数が大幅増
環境省と静岡県のまとめによると、御殿場ルートでは5合目の登山口の入山受付者が8940人(速報値)だったのに対し、8合目付近の人感センサーで集計した登山者は昨年比約2.5倍の1万7664人に上り、過去5年で最多となった。隣の富士宮ルートでは、5合目の入山受付者が8万1175人、8合目では6万866人だった。
プリンスルートを通る登山者は富士宮口で入山受け付けをした上で御殿場ルートの8合目を通るため、環境省関東環境局の担当者は「御殿場ルートの登山者数にカウントされた可能性がある」と指摘する。
ガイドツアーも3倍に増加
富士山のガイド団体「富士マウンテンガイド」代表のカミングス・ルークさん(41)は「迫力ある宝永火口を望むプリンスルートを通るツアーの参加者は年々増えている」と話す。2023年の約100人から今年は約300人に増加し、3年で3倍の人気ぶりという。
地元自治体も観光資源として活用を進めている。静岡県御殿場市は富士登山パンフレットにルートを掲載してPRしている。市観光交流課の長田祐一課長補佐は「市として推しているルートなので人気が出てきたのはうれしい。富士山の楽しみ方の幅が広がるので、来年はもっと多くの人に登ってもらいたい」と話している。
全ルートで増加、御殿場は突出
今年の開山期の登山者数は富士山の全4ルートで前年に比べて増加した。環境省が7~8合目のカウンターで集計したまとめによると、ルート別では富士宮が6万866人(前年比10.4%増)、須走が2万7129人(同24.5%増)、吉田が13万4777人(同11.3%増)だった。御殿場は1万7664人(同148.1%増)で、2倍を超える増加となったのは2005年の調査開始以来初めてという。