デジタル教科書は補助的扱い、小4以下は完全デジタル認めず 文科省指針素案
デジタル教科書は補助的、小4以下は完全デジタル認めず

文部科学省が2030年度以降に小中高で導入するデジタル教科書のあり方を示す「大臣指針」素案が17日、判明した。新たな教科書は紙を中心とし、デジタルは補助的・補完的な扱いと位置付けた。紙を使わない完全デジタルの教科書は小学4年生以下は認めず、小5以上も英語や実技系教科などに限定する。導入後、学習や健康への影響を検証し、必要に応じて見直すことも盛り込んだ。

紙中心の方針、背景に発達心理学の指摘

素案では、新たな教科書は基本的に全学年・教科でハイブリッドを中心とし、小5以上は「主に紙」、小4以下はデジタル部分をより限定的にした「おおむね紙」で構成することを明記した。デジタルは補助的・補完的に組み込む。

一方、完全デジタルの教科書は小4以下は認めない。小5以上も英語のほか、音楽、美術といった実技系教科などに限定する。

文科省が「紙中心」を打ち出したのは、有識者会議で、発達心理学の専門家らから「年齢が低い子どもは認知機能が発達途上にあり、デジタルの影響が大きい」「紙の活用が学習で効果的」といった指摘があったことなどが背景にある。

健康影響の検証と今後の見直し

視力など健康面では、継続的なモニタリング(観察)を実施する。導入後もデジタル教科書の使用状況と、健康への影響の関係性について検証を行う。学校現場での実証研究なども踏まえ、必要に応じて教科書のあり方を随時見直す。

このほか、手書きの重要性に配慮して「書く活動の授業中での確保」を明記。AI(人工知能)の搭載は「実証研究などを注視しつつ検討する」との言及にとどめた。障害のある児童生徒への対応も行う。

今後のスケジュールと導入予定

指針を巡っては9月、超党派の国会議員でつくる「活字文化議員連盟」(会長・上川陽子元外相)からも、紙主軸の学びの継承や学力・健康への影響の検証を求める要望書が出ていた。

文科省は素案を22日に開かれる有識者会議で示す。その後、パブリックコメント(意見公募)を実施し、年内に大臣指針を策定する。文科省は指針を教科書検定のルールに反映させ、教科書会社は新しいルールを踏まえた制作を行う。

新たな教科書は30年度に小学校、31年度に中学校、32年度以降に高校で順次導入される予定。なお、デジタル教科書は2030年度以降に正式な教科書として導入され、動画や音声などのデジタル素材も国の検定や使用義務の対象となる。現在は、紙の教科書と同じ内容をデジタル端末に表示する代替教材の扱いとなっている。