自衛隊員も学ぶメンタルチューニング:ロジハラ防止に必要な「正論の使い方」
自衛隊員も学ぶメンタルチューニング:ロジハラ防止

「正論」だけでは人は動きません。職場でよく見られる、論理的で正しいはずの指摘が、部下を追い詰める「ロジカルハラスメント(ロジハラ)」に発展するケースが増えています。本記事では、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏が、自衛隊員も学ぶメンタルチューニングの手法を交え、ロジハラを防ぐための「正論の使い方」を解説します。

ロジハラを生む4つの思考パターン

ロジハラを引き起こす上司には、共通する思考のクセがあります。大野氏によれば、以下の4つが重なると、部下は「反論できない」「言い返せない」状況に追い込まれ、意見を言えなくなり、萎縮し、最終的には心が折れてしまうこともあるといいます。

  • 0か100で考える傾向がある:白黒はっきりつけようとし、グレーゾーンを認めない。
  • 相手の背景を見ない:部下の状況や事情を考慮せず、結果だけを見る。
  • 感情を切り捨てる:感情は非合理だとして無視し、論理のみを重視する。
  • 「正論=正義」と思い込む:自分の言っていることは絶対に正しいと信じ、疑わない。

事例①:正論で詰められ続けた若手社員

入社3年目のBさんは、資料作成のスピードが遅いことを上司から指摘されていました。上司は毎回こう言います。「この作業は普通30分で終わるよね。なぜ1時間以上かかるの?」「冷静に考えれば、優先順位はこうなるはずだよね?」

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言っていることは正しいように聞こえます。しかし、Bさんは複数案件を同時に抱えており、他部署からの急ぎの依頼も多い状況でした。背景を聞かず、プロセスを評価せず、結果だけを正論で突きつけられる日々。Bさんは次第に「自分は仕事が遅いダメな人間なのかもしれない」と思い込み、意見を言うことすら怖くなっていきました。

最終的にBさんは体調を崩し、休職。上司は「ただ事実を言っただけなのに」と戸惑いましたが、Bさんにとっては逃げ場のない正論が積み重なっていたのです。

事例②:感情を切り捨てられた中堅社員

中堅のCさんは、家庭の事情で一時的に勤務時間を調整していました。ある日、急なトラブル対応が発生し、上司から残業を求められました。Cさんが事情を説明すると、上司はこう返しました。「あなたの担当の緊急案件が発生しているので、対応するのが最適解だよね?」

たしかに、業務の優先順位としては正しい判断かもしれません。しかし、Cさんの事情や気持ちは一切考慮されていませんでした。その後、Cさんは「自分は職場で存在価値がないのか」と感じ、徐々にモチベーションを失っていきました。

ロジハラを防ぐ鍵は「正論の使い方」にある

大野氏は、「正論は正しい。しかし、正しさだけでは人は動かない」と指摘します。ロジハラを防ぐためには、正論を伝える前に、部下の背景や感情に寄り添うステップが必要です。具体的には、以下のような対応が有効です。

  • まず事実確認を:「今、どんな状況?」と、部下の状況を聞く。
  • 感情を受け止める:「大変だったね」「困っているんだね」と共感を示す。
  • 一緒に解決策を考える:「どうしたらいいと思う?」と、部下の意見を引き出す。

自衛隊のメンタルチューニングでも、このような「相手の立場に立ったコミュニケーション」が重視されています。正論を言う前に、まずは相手を理解する。それが、ロジハラを防ぎ、チームのパフォーマンスを高める近道なのです。

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