東京都墨田区で生産されている江戸東京野菜「寺島ナス」を区内で受け渡す「すみだ青果リレー」が今年で10回目を迎えた。3日には約200人のランナーが、聖火に見立てた「青果」をつないだ。
一度途絶えた幻のナスを復活
リレーは、一度は生産が途絶えた幻のナスを、地域や世代を超えて引き継いでいこうと、地元のNPO法人「寺島・玉ノ井まちづくり協議会」が2017年に始めた。
寺島ナスは皮が硬く肉質がしっかりしており、香りが強いのが特徴だ。徳川4代将軍家綱の時代に、将軍が食べる野菜を栽培する「御前栽畑」でも育てられ、浮世絵師・歌川広重の「名所江戸百景」にも描かれた。
寺島村(現・墨田区東向島)で盛んに生産されていたが、1923年の関東大震災後に宅地化が進み畑が減少。栽培も難しかったため生産が途絶えた。町おこしに取り組む同協議会が約20年前に、種子の保存施設に種が保存されていることを知り、復活させた。
約40か所の中継地点でトーチキス
3日は0歳から103歳まで、約200人のランナーが参加。区北部に設けられた約10キロのコースには、飲食店や高齢者施設など約40か所の中継地点が設定され、店や施設の利用者らがトーチキスで寺島ナスを受け渡した。
この日の最高齢参加者で区内のデイサービスを利用する女性(103)は、「リレーを通して初めて寺島ナスを知った。もっと有名になってほしい」と笑顔だった。
同法人の末林和之副理事長(66)は「年々参加者が増え、地域のつながりの輪が広がりうれしい。皆に楽しんで参加してもらい、結果的に寺島ナスを知ってもらう機会にしていきたい」と語った。
最終日の4日は区南部にコースが設定されている。