小樽市銭函で2024年、乗用車2台が正面衝突して大学院生が死亡した事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた七飯町の無職大沢亮汰被告(34)に対し、札幌地裁小樽支部は29日、懲役4年6月(求刑・懲役5年6月)の判決を言い渡した。藪田貴史裁判官は「被告の飲酒運転は相当高度な危険性のあるもので、事故はまさにその危険性が現実化したもの」と非難した。
事故の概要と判決の理由
判決によると、大沢被告は24年9月22日朝、前日夕方から長時間飲酒した後に札幌市中央区を車で出発。午前7時20分頃に小樽市銭函の国道5号を時速80~88キロで走行中、対向車線にはみ出して大学院生の田中友規さん(当時24歳)の車と衝突し、田中さんを死亡させた。
判決は、大沢被告の呼気検査で基準値(1リットルあたり0.15ミリ・グラム)の3倍を超える0.5ミリ・グラムのアルコール分が検出されたことや蛇行運転をしていたことを踏まえ、危険な運転だったと指摘。ハンドルを握った判断は無謀で、「厳しい非難に値する」とした。
量刑の理由については「今なお飲酒運転による悲惨な事故が発生し、社会的非難がますます高まっており、厳しい処分を科すべきだ」としつつ、「被告なりの反省の態度を示している」などと述べた。弁護側は控訴しない方針。
両親が記者会見「到底納得できない」
判決後、田中さんの両親は小樽市内で記者会見を開き、「到底納得できない」と口をそろえた。父親は、飲酒運転に対する厳罰化が進んでいることを踏まえ、「どんな量刑になっても息子が帰ってくるわけではないが、懲役4年6月の判決は許しがたい」と複雑な胸中を明かした。
母親も「短すぎる」と驚きを隠さない。「息子の最期の声を聞くことができるかもしれない」と、田中さんが運転していた車のドライブレコーダーの映像を見たが、聞こえたのは衝突音だけだった。「ほぼ即死だったということ。声を聞きたかったけど、苦しむ時間が少なくて済んだのかな……」とハンカチで涙を拭った。
飲酒運転事故は夏に増加傾向
飲酒運転による事故は減少傾向にあるが、夏は増加する傾向にあり、道警が注意を呼びかけている。
道警交通企画課によると、道内で発生した飲酒運転による人身事故は2000年に1059件に上ったが、その後減少。飲酒運転の厳罰化などを背景に近年は年間100件を下回っており、今年も7月28日時点で44件となっている。
ただ、夏祭りやバーベキューなどで飲酒する機会が増える夏は、飲酒運転による人身事故も多くなる。21~25年に起きた事故を月別にみると、8月が46件で、12月の47件に次いで多い。
小樽市では14年7月、4人が死傷する飲酒ひき逃げ事件が起き、15年には飲酒運転の根絶に関する道条例が施行された。道警交通部の村越俊文管理官は「飲酒運転は悪質な犯罪。酒を飲んで運転しようとする人がいればやめさせてほしい」と話している。



