ドナー不足で臓器移植不正なくならず、医師に負担「提供システム機能せず体制整備を」
ドナー不足で臓器移植不正なくならず、医師に負担

不正な臓器移植や海外に渡航して移植を受ける事例がなくならない背景には、国内の臓器提供者(ドナー)が圧倒的に不足していることがある。患者が国内で移植を受けられない状況が続く限り、今後も同様の事件が起きる可能性がある。

渡航移植を巡る国際原則と厚労省の注意喚起

渡航移植を巡っては、臓器移植の国際的な原則「イスタンブール宣言」が、海外で金銭を払うなどして移植を受ける「移植ツーリズム」の禁止を提唱し、国内で臓器提供と移植を完結するよう求めている。厚生労働省も渡航移植は法律、医療、倫理上「さまざまな懸念がある」と注意喚起する。

日本臓器移植ネットワークによると、令和7年末時点で移植を希望する登録者は約1万7000人いたのに対し、7年中の移植件数は636件。希望者が多い腎臓は、約15年の待機期間があり、宣言が掲げる臓器提供と移植の国内での完結には遠く及んでいないのが現実だ。

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海外移植後の患者は543人、医師が指摘する実態

厚労省の調査では、海外で移植を受けた後に国内の医療機関に通院している患者が5年3月時点で543人に上った。移植医療を専門とする湘南鎌倉総合病院腎移植外科部長の大久保恵太医師は、「国内での移植機会の少なさが患者を海外に向かわせており、患者だけを責めることはできない」と話す。

提供意思はあるが、医療システムが機能せず

内閣府の昨年の調査では、脳死や心停止後に臓器を「提供したい」と答えた人が約4割に上り、一定数の人がドナーとなることに前向きであることがうかがえた。だが、多くの病院では患者の脳死判定や家族への説明、内部調整など、膨大な負担が現場の医師に集中しており、臓器提供の選択肢を家族に提示する状況に至るケースは多くないとされる。

大久保医師はこうした医療現場の実態に触れつつ、「問題は国民の臓器提供に対する意識ではなく、提供意思を実際の提供につなげる医療システムが機能していないことにある」と指摘し、「臓器提供の可能性がある患者を確実に把握し、関係機関との連携体制や、家族への選択肢の提示を行える仕組みを整備することが必要だ」と話した。

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