那覇市内のホテルで女性が殺害され、財布とリュックサックが奪われた事件で、沖縄県警は強盗殺人の疑いで、米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属の海兵隊上等兵を逮捕した。防犯カメラの映像が決め手となった。逮捕された米兵は否認しているが、容疑が事実であれば到底看過できない。
沖縄県知事が「断じて許せない」と非難
「断じて許せない」と語った古謝玄太知事をはじめ、沖縄からは今回の凶行を非難する声が上がっている。その怒りを共有したい。
高市早苗首相は臨時国会での所信表明演説に先立ち、衆参各院の本会議場の壇上で事件に言及した。犠牲者に哀悼の意を表し、「このような凶悪事件の発生は極めて遺憾」とした。米側に対し強く抗議し、捜査への全面協力と米軍の綱紀粛正、再発防止の徹底を求めたと語った。
外相も駐日米大使に抗議
逮捕直後には茂木敏充外相が駐日米大使を外務省に呼び、強く抗議した。いずれも当然の対応だ。米政府と米軍は、事件を重大に受け止め、誠意ある対応をとってもらいたい。
沖縄の米軍は日米安全保障条約に基づき駐留している。中国などの軍事的脅威が高まり、台湾有事や尖閣諸島有事が懸念されている。沖縄は日本にとって国防の最前線になっている。沖縄を含む日本の平和を守るために、在沖米軍を柱とする日米同盟の抑止力と対処力は欠かせない。
県民感情の悪化を招く凶悪犯罪
そうだとしても、沖縄の米兵が犯罪に走るのは許しがたい。沖縄には在日米軍基地の多くが集まっている。米兵らによる犯罪に県民が悩まされてきたことは歴然たる事実だ。平成7年の米兵による少女暴行事件は県民の大きな怒りを呼び、普天間飛行場返還の日米合意に至った。
この事件以降、米軍の綱紀粛正が進んだ時期があったが、新型コロナ禍が収まるにつれ、米兵らによる犯罪が再び増加するようになった。昨年6月以降は米兵らによる性暴力事件も多発している。
大多数の在沖の米兵、米軍関係者は軍紀や法令を守り、任務に励んでいる。だが、ごく一部でも凶悪な犯罪に走り、無辜(むこ)の県民が犠牲になるようでは県民感情が悪化するのが道理だ。
高市政権は引き続き、普天間飛行場の辺野古移設の推進を含め、沖縄の基地負担軽減にも努める必要がある。