戦前に治安維持法を批判し暗殺された衆院議員・山本宣治(1889~1929)の京都府宇治市内の資料館が4月末で閉館となり、地元の市民や全国の有志が26日、「新しい山本宣治資料館をつくる会」を発足させた。非営利の一般社団法人を設立する方針で、生誕140周年・没後100周年となる2029年の開館をめざす。
山本宣治の足跡と旧資料館の閉館
山本は同志社大や京大で生物学を教えた学者出身の政治家。1928年の第1回普通選挙・京都2区に、労働農民党から立候補し当選した。当時、政治・思想犯の検挙に使われた治安維持法を国会で厳しく批判したが、29年に右翼により刺殺された。39歳だった。
死後、遺族によって、日記や書簡、論文原稿、和洋書の蔵書など7千点以上の遺品が、宇治市の実家の旅館敷地内で保管された。2011年から市民団体「宇治山宣会」(薮田秀雄会長)が管理・運営を担ってきた。しかし、旅館が売却され、大規模リニューアルされることになり、資料館は4月末で閉館となった。
発足集会と新資料館の計画
「つくる会」の発足に向け、全国の65人(9月25日現在)が呼びかけ人となった。この日、宇治市内で開かれた発足集会には約60人が参加。共同代表に、山本の孫で前九条診療所所長の山本勇治さん、東京山宣会の永島民男会長、宇治山宣会の薮田会長の3人、幹事に6人を選ぶ体制案などを承認した。
新資料館の場所は宇治市内で、できれば山本宣治の墓がある同市宇治善法の周辺が望ましいとしている。幹事会で施設の内容や規模、必要経費などを検討する。資金は寄付金で賄う予定で、全国に募金を呼びかける。
デジタル化と募金の受け付け
将来的には、資料をデジタル化し、誰もがネット上で閲覧できるシステムも検討する。
参加者からは「新資料館を通じて何を訴えるのか、コンセプトが重要になる」「若い人に山本宣治はあまり知られていない。発信が課題」などの意見が出ていた。
募金は、「つくる会」の正式な口座を開設するまでは、ゆうちょ銀行の振替口座で受け付ける(口座記号番号=01060―3―1475▽加入者名=宇治山宣会▽通信欄に「山本宣治資料館募金」と記入する)。
問い合わせは、つくる会(電話=0774・48・2472、メールアドレス=yamasen1002@gmail.com)。