三重県名張市で1961年に女性5人が死亡した名張毒ブドウ酒事件をめぐり、奥西勝・元死刑囚(2015年に病死)側の弁護士が、死刑執行に関する文書の不開示決定取り消しを国側に求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が11日、名古屋高裁であった。片田信宏裁判長は「不開示決定は適法」として原告側の請求を退けた。原告側は上告する方針。
開示請求の対象と経緯
原告側が開示を求めていたのは、執行命令を出す際に検察が法務大臣に提出する「死刑執行上申書」とその添付書類。奥西元死刑囚側の弁護士は21年、再審請求の新証拠を得るために開示請求したが、法務省は存否も明らかにせず、不開示とした。
一審から最高裁までの経過
一審・名古屋地裁は、上申書が公になれば、他の死刑囚が執行の順番を予測するなどして動揺し、死刑執行が不能になる事態などが想定されるとして、請求を棄却。差し戻し前の二審・名古屋高裁もこの結論を維持した。最高裁第三小法廷は「文書の存否を答えるだけで不開示にすべき情報の開示にあたるのかを判断していない」と指摘し、審理を高裁に差し戻していた。
今回の判決の内容
今回の判決は、上申書の存否がわかれば、死刑執行の手続きがどの段階にあるかが明らかになり、執行時期を臆測するなど、他の死刑囚にも影響が及ぶと指摘。存否を回答しないという判断に「裁量権の逸脱や乱用は認められない」とした。



