大正15年に警察署として開設された警視庁池袋署(東京都豊島区)が、創立100年を迎えた。巨大ターミナル駅と東京都内有数の繁華街を管轄する池袋署は、先の大戦で庁舎の焼失を経験しながらも、時代の流れに合わせて起きる犯罪などに対応する「地域の守り神」として住民に愛されてきた。
変貌する犯罪とともに歩んだ100年
池袋署は大正15年7月、前身の巣鴨署池袋分署から独立改組する形で、警視庁の77番目の警察署として誕生した。大戦末期の昭和20年4月には空襲によって庁舎が焼失。署員は焼け残った重林寺(豊島区池袋本町)に仮庁舎を設け、混乱収拾にあたったという。西池袋の現在の庁舎には、42年に移転した。池袋駅から徒歩約5分という好立地だ。
池袋署の100年は激動の時代と変貌する犯罪とともにあった。終戦直後、池袋駅周辺には巨大な闇市が形成され、夜の街の風紀が乱れた。利権をめぐり暴力団などによる激しい抗争や凶悪事件も頻発していた。昭和末期からは服装の色を統一する不良少年集団「カラーギャング」が、駅周辺で横行し、犯罪行為を繰り返した。
平成26年には「脱法ドラッグ」を吸った男の運転する車両が暴走し、7人が死傷した。この事故を契機に違法薬物の危険性の認知度が広まり、「危険ドラッグ」の呼称が生まれた。
住民との距離の近さが特徴
街の治安を守る警察と、地域住民との距離の近さが、池袋署の特徴だ。平成初期、客引きの温床となっていた池袋駅西口周辺では、地元の商店街が主体となり「環境浄化運動」と称した独自のパトロールを展開した。警察の協力を得た取り組みは現在も続き、月に3回、100人以上が参加して、客引き防止を訴える。
毎年秋に開催される「ふくろ祭り」では、平成21年から署員もパレードに参加している。4年前からは警視庁のシンボルマスコット「ピーポくん」を載せた署独自の「警察神輿(みこし)」を作り、住民とともに商店街を練り歩く。
交番が地元のシンボルに
署の地域への浸透を感じられる場所がある。地名にちなみ「フクロウ」のデザインが施された池袋駅東口交番(同区南池袋)だ。区の協力を得て小中学生から募集したデザイン案をもとに、平成17年に建てられた。東池袋交番(同区東池袋)とともに「フクロウ交番」として街のシンボルになり、地域住民や観光客に親しまれるとともに、大きな目で街を見守ってきた。
池袋防犯協会相談役の斉木勝好さん(88)は、池袋署を「池袋の守り神だ」と話し、「ただ守るだけではなく、池袋のまちづくりにも貢献してくれる存在」と評価した。
7月に行われた創立100年の記念式典で、第67代の堂薗博之署長は「築き上げた強固な結びつきを力に変え、官民一体で池袋を世界一、安全安心な街にしていく」と力強く語った。これからも、地域住民とともに治安維持に当たる。



