戦時中に大阪府吹田市内に投下された「1トン爆弾」の実物大模型が、7月から千里ニュータウンプラザ8階の市立平和祈念資料館で展示されている。近年、市内や隣の箕面市でも不発弾が見つかり、撤去のために周辺住民は避難を余儀なくされた。「戦争は、過去や遠い国のものではない」――。悲劇を繰り返させまいと、戦争がもたらす惨状を静かに伝えている。
戦時中の吹田市と空襲の実態
終戦前の吹田市は、千里ニュータウンなどの都市開発も行われておらず、人口は現在の2割弱の約6万4000人だった。それでも、かつて〈東洋一〉と呼ばれた旧国鉄の吹田操車場や吹田駅周辺などが標的となり、計11回の空襲で34人が犠牲となっている。
不発弾の発見と影響
不発弾は、こうした戦争の傷痕として見つかっている。1978年には、当時の国鉄吹田駅前再開発ビルの建設工事で1トン爆弾の不発弾が見つかり、住民の避難や近くを走る国鉄の運休などがあった。最近では2022年に、同市南吹田のマンション建設現場で、1トン爆弾の不発弾が見つかった。撤去作業で半径300メートルが約2時間半、立ち入り禁止になり、小学校などに約150人が避難。付近を通るJR東海道線などは162本が運休、約4万8000人に影響した。
市には25年、大阪市内の篤志家から戦後80年に合わせて「平和の啓発を進めてほしい」と、600万円の寄付が寄せられ、資料館はこうした経緯を踏まえ、1トン爆弾の模型を作ることにした。
模型の詳細と展示内容
「1トン爆弾」は通称で、模型は全長2・36メートル、直径が0・6メートルの2000ポンド(約900キロ)爆弾だ。樹脂製で、丸く尖った先端や尾翼、淡い黄土色の胴体などを再現した。模型のそばでは、戦時中の資料を基に1トン爆弾の威力をパネルで解説。落下地点から40メートル離れていても木造家屋は倒壊し、150メートル離れていても、爆弾の破片が直撃すれば即死する威力だという。また、1978年に見つかった不発弾の破片も展示されている。
箕面市での不発弾発見と資料館の呼びかけ
吹田市の北に隣接する箕面市で今年7月、工事現場から1トン爆弾の不発弾が見つかった。9月27日には処理作業に伴い、2400人が避難、阪急箕面線が一時運休した。
資料館では「自分の街にもこんな大きな爆弾が落とされ、今も影響が残ることを実感し、戦争の恐ろしさ、悲惨さ、平和の尊さを考えてもらいたい」と呼びかけている。