京都御所(京都市上京区)にある、最も格式の高い正殿・紫宸殿(ししんでん)で、30数年ぶりとなる大規模な整備工事が行われることになった。ひわだぶき屋根のふき替えや耐震補強などが目的で、10月の秋の特別公開後、約9年間かけて整備をする。
平安宮以来の由緒ある正殿
紫宸殿は平安京の中枢部・平安宮以来の由緒を持つ正殿。平安時代の建築様式を伝える現在の建物は、孝明天皇の時代にあたる幕末の安政2(1855)年に再建された。明治・大正・昭和、3代の天皇の即位など、宮廷の重要な儀式が行われてきた。1868年、明治新政府が示した基本方針「五箇条の御誓文」が発布された場所としても知られる。
宮内庁京都事務所によると、おおむね30年ごとに屋根のふき替えが行われてきた。前回は、元号が昭和から平成に変わった1989年と翌90年にかけて実施された。
3期に分けて2034年頃まで工事
今回の整備工事は、今秋から2034年頃まで3期に分けて続く見込み。ひわだぶきの屋根のふき替えのほか、蔀(しとみ)戸や壁の塗り替え、階段の改修などをする。耐震補強や防災設備の充実も図る。
工事期間中は、紫宸殿は素屋根で覆われる。10月8~12日の特別公開は、現在の建物の姿を見渡せる貴重な機会となる。
特別公開で高御座や障壁画を公開
特別公開では、紫宸殿の前の南庭から、天皇の特別な御座「高御座(たかみくら)」や皇后の御座「御帳台(みちょうだい)」を含めた室内を見ることができる。高御座はいわゆる「玉座」。2019年、天皇陛下が国内外に即位を宣言した儀式でも用いられた。
宜秋門番所では、宮廷文化を伝えるものを集めて公開する。紫宸殿と清涼殿の「獅子(しし)狛犬(こまいぬ)像」や、京都御所の小御所にある障壁画「元日節会(せちえ)」と「十月更衣(ころもがえ)」(模写)を展示する。元日節会は宮中で古来行われてきた公的な宴。十月更衣は清涼殿での更衣の様子が描かれている。
希望者は午前9時から午後3時20分までに入門。特別公開の見どころ解説なども予定されている。参観料や事前の申し込みは不要。問い合わせは宮内庁京都事務所(075・211・1211=平日)へ。