TBS系日曜朝の「サンデーモーニング」で今月16日、ロシアのプーチン大統領が北方領土・択捉島を訪問したことを巡り、歌手の加藤登紀子さんが「私いろいろ調べましたが、やはり現在北方領土はロシアが領有されているものなので」などと述べた。この発言は批判というよりも「失笑」を呼んでいる。
「戦争の悲惨さ」を訴える立場との矛盾
加藤さんは終戦記念日の前後になると毎年必ずコメンテーター席に座り、「戦争の悲惨さ」を番組のご意見番のように訴える存在だった。直後にアナウンサーが「実効支配」と慌てて言い直したが、「いろいろ調べた」割には、北方領土の歴史的経緯については疎いようで、戦争の悲惨さを訴える割には「武力による現状変更」を容認しているかのようにも思える。
「戦争経験者」としての紹介に疑問
昨年8月の番組でも視聴者をざわつかせる一幕があった。司会の膳場貴子さんが「加藤さんは戦争を経験された世代でいらっしゃいます」と紹介した。そもそも加藤さんは昭和18年12月生まれで、終戦の日でもまだ1歳半である。経験はしたかもしれないが、一体何を覚えているのだろう。
番組としては「語り部」のつもりだったのだろうか。わざわざ「経験者」という言葉を使い、「戦争を知る世代」が「戦争を知らない若い世代」を啓蒙するという形がこの番組の基本的なスタンスのようである。ただ、彼女はそもそも「戦争を知る世代」ではなく、どちらかと言えば「全共闘世代」ではないか。
今年は「2歳弱」と認める加藤さんは満州に生まれ、終戦から1年ほどして引き揚げてきたという。もちろんご家族らは苦労しただろうし、そうした話も聞かされてきたに違いない。何より「経験者」以外が戦争について語ってはいけないわけではない。



