三重県亀山市の新名神高速道路で3月、スマートフォンを見ながら大型トラックを運転し、乗用車に追突して6人を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた女(55)の判決が20日、津地裁で言い渡される。事実関係に争いはなく、争点は量刑だ。
危険運転罪は適用されず、求刑は上限の7年
同法違反の危険運転致死罪は適用されず、検察側は法定刑の上限となる拘禁刑7年を求刑したが、「(7年は)短すぎる」と遺族は訴える。なぜ「ながら運転」は危険運転ではないのか。法改正を求める声が上がっている。
検察側によると、元トラック運転手の水谷水都代(みつよ)被告(55)はダッシュボードにスマホを設置し、日常的にショート動画を流しながらハンドルを握っていた。3月20日未明、亀山市のトンネル出口付近でTikTok(ティックトック)で料理動画を見ながら運転し、一度スクリーンショットを撮影。より良い画像を撮影しようと、再度操作するために約13秒間脇見運転して追突事故を起こした。
遺族の無念と法改正への訴え
これまでの公判で、検察側にながら運転の理由を問われた被告は「軽い気持ちだった」と述べた。弁護側は被告が繰り返し反省や謝罪を述べていると主張し、「相応の判決を求める」とした。
検察側が求刑した拘禁刑7年は過失運転致死罪の上限だ。仮に悪質運転を対象とした危険運転致死罪が適用されていれば、上限は同20年だった。
亡くなった松本幸司さん=当時(45)=一家5人の遺族は、今月2日、三重県内の県警施設で保管されている一家の車に献花した。ミニバンは中央でくの字に折れ曲がり、後部座席付近はぺしゃんこに。遺族は「想定以上の状態で言葉も見つからなかった」と涙した。
亡くなった松本幸司さんの妻、恵梨子さん=当時(42)=の兄は取材に「(拘禁刑)7年は短いと感じる」と吐露。「6人も殺しておいて7年で(矯正施設から)出てこれるのか」と胸の内を明かした。