2026年5月にプレジデントオンラインで公開された記事が大きな反響を呼んだ。皇室研究家で神道学者の高森明勅氏が、昭和100年記念式典における高市早苗首相の対応や、皇位継承をめぐる与野党協議の進め方に強い疑義を呈している。
式典で「おことば」がなかった違和感
4月29日「昭和の日」に日本武道館で、天皇皇后両陛下のご臨席のもと政府主催の「昭和100年記念式典」が開催された。高森氏は招待され出席したが、強い違和感を覚えたという。
まず、両陛下の先導役を務めたのが、高市首相ではなく木原稔内閣官房長官だった点だ。高森氏は「前例に照らしても、常識的に考えても、最高の賓客である両陛下をご案内するのは式典委員長の高市首相以外にあり得ない」と指摘。昭和43年の「明治百年記念式典」では佐藤栄作首相が先導役を務めた例を挙げ、「明らかに非礼なやり方だった」と批判する。
さらに、式典で天皇陛下による「おことば」がなかったことも問題視する。高森氏は「高市氏による高市氏のための式典」と断じ、両陛下に対する配慮を欠いた運営を非難した。
皇位継承議論の一方的な進め方
衆参両院は5月15日、安定的な皇位継承に関する全党派による全体会議を開催。約1年ぶりの再開後、いきなり大詰めを迎えた感がある。高森氏は「『女性天皇』実現を求める国民の気持ちを締め出し、現在の『男系男子』に固執して政府・与党のペースで早々と店じまいする様子が見える」と懸念する。
特に自民党副総裁の麻生太郎氏の側近で、麻生派の事務総長だった森英介議員を衆院議長に押し込んだことを挙げ、「自民党がもくろむシナリオ通りの展開」と指摘。こんな一方的なやり方で皇室の将来がかかった議論を打ち切っていいのか、と疑問を投げかける。
「養子縁組プラン」の矛盾
皇位継承の選択肢として、旧宮家の男系男子を養子とする案が取り沙汰されているが、高森氏はこれに反論。旧皇室典範では「皇族の養子はこれを禁ず」と明確に規定されていたことを指摘し、「養子」「養親」ともに高いハードルがあると述べる。
また、民間から皇室に嫁いだ女性が生んだ子(女系)が皇位を継ぐことへの抵抗感を政府・与党が示す一方で、民間系の血筋(旧宮家の男系男子)が皇室を受け継ぐことになる矛盾を「皇室の危機」と表現。結果として「愛子天皇」への道が開かれるべきだと主張する。
秋篠宮さまの真意と愛子さまへの期待
高森氏は、秋篠宮さまが即位を望んでいないとの見解を示す。会見での発言やお立場から、愛子さまへの思いが感じられるとし、「精神の継承こそが皇室の伝統」と強調。上皇さまが「愛子に天皇になってほしい」との思いを持っていた可能性にも言及する。
さらに、側近たちの「女系発言」が持つ意味を考察。「愛子天皇か悠仁天皇か」という二項対立ではなく、国民の理解と皇室の安定を優先すべきだと訴える。
政府・与党への警鐘
高森氏は、このまま見切り発車的に皇室典範の改正に踏み込むべきではないと警鐘を鳴らす。国民にとって重要な皇室の将来が、一部の政治家の思惑で決められることに強い危機感を示している。



