米ディズニー・クルーズラインで、制服姿の乗組員が連邦当局に連行される事件が発生した。サンディエゴ港に停泊中の客船「ディズニー・マジック」号で、乗客が目撃したこの出来事は、同社の安全性に深刻な疑問を投げかけている。米運輸省のデータによれば、ディズニー船内の性犯罪報告件数は近年急増しており、ファミリー層からの信頼を揺るがす事態となっている。
乗客が目撃した衝撃的な連行劇
今年5月、カリフォルニア州サンディエゴを発着する5日間のクルーズを終えた乗客ダーミ・メータ氏は、下船の際に信じがたい光景を目にした。ICE(米移民・関税執行局)の職員が、ディズニーの制服を着たままのクルーに拘束具をかけ、船外へ連行していたのだ。地元テレビ局NBC 7 サンディエゴが報じたところによると、連行された中にはメータ氏一家のテーブルで給仕していたヘッドウェイターも含まれていたという。
「本当に不安な気持ちになった」と、事件から約2週間後、メータ氏は埠頭での記者会見で振り返った。米報道によれば、このヘッドウェイターや他の乗組員は、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)をめぐる連邦捜査の一環として連行された。
米運輸省データが示す性犯罪の急増
米運輸省(DOT)が公開するクルーズ船の犯罪データから、ディズニー・クルーズラインにおける性犯罪報告の急増が浮き彫りになっている。同省の四半期報告によれば、ディズニー船内の性犯罪通報件数は、コロナ前の2018年通年で3件、部分再開となった2022年も3件と一桁だった。しかし、2023年には19件に急増。2024年は21件、2025年も16件と、高水準で推移している。
船室数は2018年の4250室から2022年の5500室へ約3割増加したが、通報件数の伸びを説明するには不十分だ。この数値には児童虐待を含むすべての性犯罪が含まれ、乗客と乗組員の双方による行為が対象となっている。米ニューズウィーク誌は、乗組員による性的暴行が2023〜2024年の2年間で計9件に達したと報じている。
業界全体のモラル低下とSNSでの誤情報
今回の事件は、クルーズ業界全体のモラル低下を浮き彫りにしている。SNSでは誤情報も拡散し、一部では「乗組員全員が逮捕された」などのデマが流れた。ディズニー・クルーズラインは公式にコメントを控えているが、海事弁護士の中には「ディズニークルーズは推薦できない」と明言する者もいる。
過去にもクルーズ船内の性犯罪問題は繰り返し報じられてきた。2028年度にはディズニー・クルーズラインが日本に初就航する予定で、安全性への懸念が高まっている。専門家は、日本版での徹底した対策と乗客への周知を求めている。



