刑事裁判の再審手続きにおいて、検察が開示した証拠の公開が、たとえ過去に再審無罪が確定した事件であっても違法となり得る——。再審制度を見直す刑事訴訟法改正案に、こうした規定が盛り込まれていることが明らかになった。国会ではまだ本格的に議論されていない論点だが、捜査や公判に問題があった事件の検証を妨げる恐れがあると指摘されている。
法案の概要と審議状況
法案は参院で審議中で、政府・与党は17日の成立を目指している。立憲民主党と公明党は5項目の修正案をまとめたが、参政党の賛同を得て少数与党の参院でも過半数を形成した政府・与党は、修正に応じない構えだ。
この規定は「目的外使用の禁止」と呼ばれる。検察が再審請求後に開示した証拠について、元被告や弁護人が再審手続きやその準備の目的以外で使用することを一律に禁じる。弁護士が捜査や公判の問題を訴えるために、メディアや支援者に証拠をそのまま公開すれば違法となる。
法務省の説明と批判
法務省は、被害者のプライバシーなどを守るために必要だと説明する。しかし、再審手続きで開示されるのは通常の刑事裁判では明かされなかった「隠された証拠」であり、一律禁止は過剰だと批判されている。立憲と公明は、裁判所が必要に応じて開示を制限できる修正を求めている。
改正法施行前の再審請求事件にも適用される可能性があり、過去の再審無罪事件の検証にも影響を与える恐れがある。
具体例と懸念
例えば、袴田巌さんの事件では、弁護士が検察の証拠を公開して問題点を指摘したが、同様の活動が将来は制限される可能性がある。証拠の目的外使用禁止は、冤罪被害者の救済や司法の透明性を損なうとの懸念が強い。
元裁判官からも「証拠が出なくなる可能性」が指摘され、学者らは「再審手続きがブラックボックスになる」と反対している。



