難民不認定覆るケースが相次ぐ
日本で暮らす外国人の難民申請を退けた国の判断を司法が覆すケースが相次いでいる。支援団体によると、2025年1年間で少なくとも6件あった。このうちの1件は、難民として保護すべきだったにもかかわらず、現行制度では強制送還の対象となる人が原告だった。
カメルーン出身男性、14年越しの認定
「うれしいと同時に残念です。なぜなら時間が長くかかったから」。黒地に金色の刺繍が施された民族衣装を着たカメルーン出身の男性が静かに口を開いた。この男性の難民申請を退けた国の処分の妥当性が争われた訴訟で、東京地裁は2025年6月に処分を取り消し、難民と認めるよう命じる判決を言い渡した。東京高裁も2026年4月、この判断を支持した。
男性が初めて申請をしてから14年。判決が確定したことを受け、男性が発した言葉はこれまでの険しい道のりがうかがえるものだった。
判断の差は証拠評価に
司法が難民不認定を覆すケースは、過去にも少数ながら存在したが、2025年は特に多かった。支援団体は「行政と司法の判断の差は、証拠の評価だけにある」と指摘する。行政は申請者の供述に一貫性がないと判断することが多いが、司法は国別の状況や詳細な事情を考慮し、迫害のおそれを認める傾向がある。
制度上の課題
今回のケースでは、男性が難民と認定された一方で、現行制度では強制送還の対象となる立場だった。難民認定が下りなければ、送還される可能性があった。この点について、支援団体は「難民保護の観点から制度の見直しが必要」と訴える。
専門家の声
安田菜津紀フォトジャーナリストは「たとえ『間違った送還』をして難民当事者の身に何かあっても、私たちは知りません――日本政府の態度は、そんな非人道的メッセージを発し続けていると言わざるをえません」とコメント。鈴木江理子国士舘大学教授は「難民申請から14年。あまりに長い年月である。認定までに多大な時間がかかれば、心身共に追い込まれ、受け入れ国での生活に向けた準備も遅くなる」と指摘した。



