ネット上の投稿でジャーナリストの鈴木エイト氏を侮辱したとして、侮辱罪に問われた旧統一教会の元顧問弁護士の中山達樹被告(51)に対し、東京地裁が16日、判決を言い渡す。公判で被告側は「侮辱ではない」と無罪を主張してきた。ネット上にあふれる悪口雑言が、「犯罪」にあたるか否かの境目が問われている。
ブログ投稿の内容と告訴の経緯
問題となったのは、被告が2023年に自身のブログ上に投稿した「匿名のジャーナリストは存在してはいけない」と題した記事だった。記事には「鈴木エイトは10年以上、オタク相手に独りマスターベーションするようにシコシコ書いて溜飲(りゅういん)を下げていた」「いじり人格。おちょくり坊主」といった表現が含まれていた。
こうした内容が侮辱罪にあたるとして鈴木氏が告訴し、被告は在宅起訴された。被告は22年に旧統一教会の顧問弁護士になった。一方の鈴木氏は長く教団に関する取材を続け、時に激しい言葉を使って教団側を批判してきた経緯があり、2人は鋭く対立する関係にあった。
検察の主張と被告側の反論
検察側は裁判で、このブログは「マスターベーション」「いじり人格」などの言葉を使い、「鈴木氏が人を揶揄(やゆ)して快感を得る人物だと表現した」と指摘。人格の非難に当たり、社会的評価を下げることは明らかだと主張した。また、ジャーナリストである鈴木氏の発言や姿勢を「公正に論評したともいえない」として、罰金10万円を求刑した。
一方の被告は「侮辱しようと思ったわけではない」と無罪を主張した。弁護側は、2人の対立関係は多くの読者にすでに知られているため「今回の記事が鈴木氏の社会的評価を下げることはありえない」と主張。約2500字の記事全体の文脈を無視し、一部の表現を切り取って犯罪とするのはおかしいと訴えた。
また、社会的評価を下げる表現だったとしても、あくまで著名なジャーナリストである鈴木氏への正当な論評だったと強調した。「人格否定ではなく、取材や表現行為への批判だった。違法ではない」と述べた。
侮辱罪の法定刑と論点
侮辱罪の法定刑はもともと「拘留または科料」とされていたが、2022年の刑法改正により「1年以下の懲役若しくは禁錮または30万円以下の罰金」に引き上げられた。ネット上の誹謗中傷が社会問題となる中で、表現の自由との境界が争点となっている。
判決では、ブログ投稿が侮辱罪に当たるかどうかが焦点となる。言論で対処すべきものが刑事裁判に持ち込まれたことの是非も含め、司法の判断が注目される。



