宮城県富谷市の元そば店主、河野親さん(78)は、昭和初期に生産された木製のアンティークラジオを60年以上にわたり収集し続けている。そのコレクションは130台を超え、自身で修理も手がけ、つまみを回せば雑音のないラジオ放送を今も聴くことができる。
60年にわたる収集の原点
河野さんは北海道小樽市の出身。高校時代、通りの向かいに住む大学生がアマチュア無線を楽しむ姿に憧れ、自分も一式を買いそろえて夢中になった。やがて近所の人々から故障した電化製品の修理を頼まれるようになり、その中にはラジオも含まれていた。
「デジタル全盛の時代だけど、100年近く前のスピーカーが震えて生の音が耳に届く魅力は捨てがたい」と河野さんは語る。
戦前のラジオと歴史的背景
河野さんが一昨年まで営んでいた「そば処さくら」の店内には、現在も収集したラジオが所狭しと飾られている。木板をくりぬいた外装の意匠は一つ一つ異なり、どれも凝った作りで見飽きることがない。
国内のラジオ放送は1925年(大正14年)に始まった。その2年前の関東大震災で正確な情報伝達ができず、被災地の混乱を招いたことがラジオ放送導入を後押しした。欧米を参考に国産の受信機も次々と作られ、広まった。
コレクションの中には、当時の放送範囲だった朝鮮半島を含む地図がパネルにあしらわれた戦前のラジオも含まれている。