さいたま・別所沼公園で毛虫が大量発生、園内全域に拡大…利用者から不安の声
さいたまの公園で毛虫大量発生、園内全域に拡大

さいたま市南区の別所沼公園で、ガの一種アメリカシロヒトリの毛虫が大量に発生している。昨年までは公園の一部エリアでしか見られなかったが、今年は生息範囲が園内全域へと拡大し、関係者が対策を急いでいる。毒を持たず、触れてもかゆみや痛みは生じないとされるが、利用者からは不安の声も上がっている。

園内各所で毛虫を確認、約15分で50匹以上

19日日中、親子連れや釣り人でにぎわう公園を歩いて回ると、各所に立つメタセコイアの根元に毛虫が見られた。小指ほどの長さで白い毛をまとい、黒みがかった体をくねらせて幹をよじ登っていった。両隣の木、その隣の木にも付着し、記者が園内で探すと約15分で50匹以上を確認できた。

園内の周回コースで毎日ウォーキングをしている同市浦和区の男性(64)は「増え方がすさまじい。木から落ちてくることもあるので帽子をかぶっている」と苦笑い。子どもと来ていた同区の女性(42)は「気持ちのいいものではない。遊んだりお弁当を食べたりする時は木の少ない場所を選ぶ」と話した。

今年は8月以降、園内全域で確認

公園を管理する市公園緑地協会によると、毛虫は例年、6月頃から2、3回発生する。8~10月にピークを迎え、11月に入ると幼虫がさなぎになるため減っていくという。

園内ではこれまで、年ごとに南側の道路付近や遊具がある広場など局所的な発生にとどまっていたが、今年は8月以降、園内全域で確認されている。協会や市には「駆除してほしい」「子どもを遊ばせにくい」などの声が10月までに20件近く寄せられている。

同協会は薬剤の散布や枝葉の剪定をし、ほうきとちりとりで毛虫を集めて駆除している。散歩道には注意喚起のはり紙をし、業者に対応も依頼している。結城勝美課長補佐(52)は「利用者や近隣への影響を考えながら薬をまく必要がある。紅葉のために葉を残したい気持ちもある」と対策の難しさを語る。

専門家は繁殖力の強さとラクウショウの多さを指摘

アメリカシロヒトリに詳しい県立広島大の五味正志教授(昆虫生態学)は大量発生の要因として、1匹の成虫が200~800個と大量の卵を産む繁殖力の強さを挙げる。幼虫が生まれたタイミングで防除することが有効だと指摘する。

五味教授によると、アメリカシロヒトリは針葉樹のラクウショウの葉を好むとされる。同公園にはラクウショウが約500本と数多く植えられており、これも大量発生の要因として考えられるという。一方、最近の気候状況を踏まえ、「発生時期が変化したり、雨が降ったりすることで薬剤の効果を十分に得られない場合もある」と話している。

アメリカシロヒトリは北米原産のガの一種。幼虫は体長3センチほどの毛虫だが、毒はなく、桜の葉などを好んで食べるとされる。白い羽を持つ成虫は、1年間に2~3回、葉の裏に産卵する。