平成10年8月28日、秋田県角館町(現仙北市)で「戊辰戦争百三十年in角館」と題したイベントが開かれた。1868年勃発の戊辰戦争に縁のある自治体の首長らが討論会などを行い、記者3年目で秋田支局勤務だった筆者も取材した。
会津と長州、130年越しの握手
戊辰戦争では、会津藩などの奥羽越列藩同盟を含む旧幕府軍と薩摩、長州藩といった新政府軍が激しく戦った。一時は険悪な空気が漂いつつイベントは和やかに終わった。
その後、会場の控室のようなところで出席者による懇親会があり、どういう経緯か同席した。気が付くと、目の前に福島県会津若松市の山内日出夫市長と山口県萩市の野村興児市長がいた(いずれも当時)。
「和解という意味ですか」と断られた瞬間
思わず旧会津、旧長州の両市長に「写真を撮りたいので握手してもらえませんか」とお願いした。130年もたてば遺恨も消えているだろう-。そんな思い込みが甘かった。
山内氏に「それは和解という意味としてですか? そうだとすれば、できないんですよ」と断られた。穏やかな表情ながら目は笑っておらず、隣の野村氏は苦笑いを浮かべていた。汗顔の至りとしか言いようがない。
「賊軍」ではない教えを今に
「ならぬことは、ならぬ」――白虎隊に伝わるこの精神は、単なる頑なさではない。歴史の重みを背負い、簡単に和解を口にしない姿勢が、国難の時代にこそ問われている。



