放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会は6月23日、北海道旭川市で起きた女子高校生殺人等事件の裁判報道について議論した。女性被告が投稿したSNS動画などを長時間放送することに対し、視聴者から批判的な意見が寄せられたことが背景にある。
委員から「節度不足」の指摘
BPO事務局が入る千代田放送会館で開かれた委員会の議事概要によると、委員の一人は「事実を的確に伝えることは必要」と述べた上で、ひとつのニュース項目を長く放送することについて「節度が足りないと思う」と報告。英国の放送局のように、ニュース項目をコンパクトに伝える方法を模索すべきだとの問題意識を示した。
番組形態の違いと視聴者の受け止め
別の委員は、定時の短いニュース番組、ニュースを拡大した報道番組、ニュースを題材にした長時間の情報番組(いわゆるワイドショー)では性質が異なると指摘。視聴者は自分が見た番組や場面について感想を述べるため、番組形態の違いによって受け止め方に差が生まれているとの見方を示した。
また、別の委員は、この事件が裁判員裁判であり、公判に出される証拠には裁判員の精神的負担に配慮した対応がなされていると説明。その上で、一般の視聴者にとってはきつい内容になり得るとしながらも、「刑事裁判は生の事実を報じることが大事だ」と述べ、公判の様子をどう伝えるかは報道機関としての力量が問われる部分だと指摘した。
「中立」「公正」「節度」を巡る議論
さらに、ニュース報道における「中立」や「公正」「節度」についても議論が及んだ。別の委員は、客観的・絶対的な中立はあり得ないとし、客観的正しさを追い求めすぎることで報道が萎縮する危険性に言及した。
最後に、ほかの委員は「節度」を求める声によって報道が無難な方向へ流れていくことへの懸念を示し、制作者が「なぜこれを報道するのか」をきちんと説明できるか、問題が生じた際に対応できるかが問われるとまとめた。



