ビール大手4社のカルテル疑惑に啞然、公取委が強制調査
ビール大手4社カルテル疑惑に啞然、公取委強制調査

ビール類の価格を巡り、アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールの大手4社が値上げ幅などを事前に調整していた疑いが強まり、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで強制調査した。刑事告発を視野に入れた犯則調査であり、大規模な独禁法違反事件に発展する可能性がある。

市場経済の根幹を損なう行為

競合会社が価格や値上げ幅を申し合わせるカルテルは、市場経済の根幹である公正な競争を損ない、消費者の選択肢や利益を奪う。独禁法が厳しく禁じる基本的な違反行為だ。大手企業にとってカルテルが違法であることは常識であり、「知らなかった」では済まされない初歩的なルールである。

摘発された4社のうち、アサヒ、キリン、サッポロの親会社は上場企業だ。法令順守を経営の重要課題に掲げ、コンプライアンス委員会や内部通報、内部監査の制度を整えてきたはずである。問われるべきは営業担当の法令意識だけでなく、経営の根幹に関わる価格決定を巡るカルテルである以上、事実なら経営の責任と捉えるべきだろう。

企業統治の検証が不可欠

上司や法務部門は競合他社との接触を把握・管理できていたのか。内部監査は価格決定の過程を適正に検証していたのか。取締役会の監督は機能していたか。検証されるべきは、企業統治そのものである。

国税庁によると、令和6年のビールと発泡酒の国内売上額は計約1兆6100億円に上る。民間調査では、国内ビール市場は大手4社で約9割を占める。その4社すべてに価格カルテルの疑いが浮上したことで、事態の重大性と異常性が理解できよう。

価格転嫁と価格協調は別物

ビール市場は横並び価格が疑問視されてきた。平成2、6年にはビール、15年には発泡酒の4社の値上げを公取委が「価格の同調的引き上げ」とみて、各社に理由の報告を求めた経緯がある。

物価高で増加した原材料費や物流費、人件費は、適正な形で商品価格に転嫁する必要がある。企業は正当な値上げをためらうべきではないが、価格転嫁と価格協調はまったくの別物だ。この当たり前のことを、全ての企業は肝に銘じる必要がある。