戦争で両親と妹2人を亡くした体験をつづった「ガラスのうさぎ」の著者で、平和を訴え続けた高木敏子さんが先月死去した。94歳だった。
上皇ご夫妻との交流
同世代の上皇ご夫妻との交流について聞いたことがある。実家は東京・両国のガラス工場で、皇居・御所に招かれて懇談しても、下町育ちらしい率直な物言いを通した。
幼少時の上皇さまの写真を見て「かわいかったのね」と言うと、「私だってかわいい時があったんです」と上皇さまが返され、笑いあった。サイパン慰霊の後、「お年だから海外慰霊はもういい」と意見したら、上皇さまは「そうはいかない」と続ける意向を示され、感じ入ったという。
戦争体験を語り継ぐ
病を得た高木さんは晩年、戦争体験を語り継ぐ活動から退いた。「心の底から『戦争なんて二度とごめんだ』と訴えたから、みんな真剣に聞いてくれた」と胸を張ってふり返った。
代替わり後、ご夫妻から「時間ができたのでまたいらしてください」と伝言が届いたという。「私ももう年なので遠慮しましたよ」。ひときわさばけたその口ぶりが、名残惜しさの裏返しのように聞こえた。



