安倍晋三元首相が奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の応援演説中に銃撃された事件から8日で4年を迎えた。現場近くに設けられた献花台には、県内外から多くの人が訪れ、安倍元首相を悼んだ。
献花台に約1000人が訪れ黙とう
献花台は保守系団体のメンバーらでつくる有志団体が設置。団体によると、早朝から花を供える人の姿があり、夜までに約1000人が訪れた。銃撃があった午前11時31分頃には献花台や周辺で黙とうする人の姿が見られた。
毎年献花台に訪れているという愛知県豊川市の会社員(34)は「事件を忘れないために今年も来た。安倍さんの写真を前に、心の中で『これからも日本を見守ってください』と伝えた」と振り返った。
現場にいた市長らも献花、県議は「目が合った」と回想
発生時に現場にいた仲川げん奈良市長や並河健天理市長らも足を運んだ。当時、自民党奈良県連幹事長だった荻田義雄県議は「銃撃後に振り返った安倍元首相と目が合った気がする。それが4年がたった今でも忘れられず、この日を迎えるとつらい」と話した。殺人などの罪に問われ、1月に奈良地裁で無期懲役の判決を受け、控訴した山上徹也被告に対しては「怒りを持って行く場所を間違えたと思う。命の大切さを見つめ直してほしい」と述べた。
事件を撮影した村議「涙が出た」、高校生も献花
発生当時に事件の一部始終をビデオカメラで撮影した大谷敏治山添村議は「事件のことを思い出したり、安倍元首相の尽力に感謝を伝えたりしていると、涙が出てしまった」と語った。裁判の公判も数回傍聴したといい、「この1年は公判もあって時間の経過を早く感じた。判決には納得している。ただ、もう少し自分の言葉で話してほしかったし、控訴もしているので落ち着かない気持ちだ」と話した。
この日は山下真知事らも訪れた。事件現場から東に約5キロ離れた、安倍元首相の慰霊碑が立つ三笠霊苑(奈良市)にも、自民党有志議員でつくる「保守団結の会」のメンバーや多くの人が訪れた。
大阪市天王寺区の高校3年の男子生徒(17)は花を供え、「小さい頃から総理大臣といえば、安倍さん。笑顔の印象が強く、あんな形で亡くなってショックだった」と話す。山上被告の初公判には家族で抽選に並び、母親が傍聴したという。「試射に使った板などが出てきて生々しかったと聞いた。不遇な生い立ちだったとしても殺人は許されない」とし、「暴力のない、平和な社会であってほしい」と願った。
「事件が風化している」と主婦、追悼法要も
生駒市の主婦(57)は、最近は銃撃事件の日を迎えても周囲から話題に上がることも少なくなったという。「月日がたって事件が風化しているように感じる。日本を大事に思っていた安倍さんの気持ちを忘れず、継いでいかなければ」と思いを語った。
大和西大寺駅の西側にある真言律宗総本山・西大寺境内では午前11時から、安倍元首相の冥福を祈る追悼法要が営まれ、関係者約20人が参列した。本尊・十一面観音菩薩像をまつる四王堂に安倍元首相の名前を記した卒塔婆を置き、松村隆誉長老ら僧侶7人が読経する中、参列者は焼香し、手を合わせた。辻村泰範執事長は「国や民を思った安倍元首相の気持ちをくみ、冥福と世の安穏をお祈りした。現場に近い寺や僧侶の務めとして、来年以降も法要を続けたい」と話していた。



