大学生のメンタル不調増加、サークルや相談窓口の支援充実…専門家「早期アプローチ重要」
大学生メンタル不調増、支援充実…専門家「早期アプローチ重要」

メンタル不調を訴える大学生が増加しており、各大学は交流促進や相談体制の強化に取り組んでいる。環境変化や就職活動のプレッシャーに加え、中高時代にコロナ禍で対面活動を制限された影響も指摘されている。

奈良大サークル「Again」が交流会を開催

奈良大学(奈良市)では5月中旬、若者の自殺予防を目的としたサークル「Again」が1年生向けの交流会を開催した。悩みの有無にかかわらず参加を呼びかけ、約30人がテーブルごとに雑談を楽しんだ。社会学部1年の男子学生(18)は「友達を増やしたいし、いろんな人と話せて楽しかった」と語った。

Againは2020年から、太田仁社会学部教授(対人心理学)のゼミ生らが運営。メンバーの橋本みなみさん(21)もかつて悩みを抱えていた。1年の6月頃から起きられなくなり、秋以降は食欲が落ちて遅刻が増えた。大阪府内の自宅から片道1時間半かけて通学し、気の合う友人が少なかったという。しかし、サークルで親しい友人ができてからは朝から授業に行けるようになった。「大学では履修科目が違う友人が多く、一人で行動することが増えて寂しかった。居場所が大事だと実感した」と話す。

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コロナ禍で高止まりするメンタル不調

太田教授は「誰かとつながっている実感があれば、自殺に至るような深刻な事態を防げる。うつになる前の早い段階でアプローチできれば」と強調する。

河合塾グループ「KEIアドバンス」(東京)が2025年1~3月に全国の国公私立大学を対象に行ったアンケートでは、回答した345校のうち260校が、メンタルヘルスに問題を抱える学生はコロナ禍前の2019年以前と比べて「増えた」と回答した。

同志社大学(京都市)のカウンセリングセンターは2023、24年度にカウンセラーを増員。コロナ禍後に相談件数が増加し、現在も高止まりしている。ピークの2023年度は4313件、2024年度も約4000件だった。担当者は「中高時代にコロナ禍を経験した今の学生は、仲間と協力する文化祭や部活の経験が乏しく、対面での授業で人と関わるのが怖いという訴えもある」と明かす。

関西の別の私立大学でも、学生相談室の年間延べ利用件数がコロナ禍前の約3000件から4000件台に増加。「成長期に必要な経験を得られないまま大学に入り、真面目な学生ほど不安を感じやすい」と広報担当者は話す。

厚生労働省などによると、大学生の自殺者は2020年以降400人台で推移し、2025年は424人だった。

各大学が支援体制を充実

学生の不調が深刻化する前に対応しようと、各大学は支援体制を強化している。和歌山大学(和歌山市)は2024年から、心身の不調や学習困難を抱える学生を他の学生が支える「ピア・サポート」を開始。現在20人の学生サポーターが、ヨガなどのイベントを通じて交流したり、履修相談に乗ったりしている。早稲田大学(東京)は2022年、学生が24時間利用可能な外部相談窓口を導入した。

近畿大学の本岡寛子教授(臨床心理学)は「大学では履修やサークル、アルバイトなどを自分で管理する必要があるため、しんどさを感じる学生が多い。大学側も不調のサインに気付くのが難しく、医療機関も含めた支援に迅速につなぐ仕組み作りが重要だ」と指摘している。

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