北海道内で梅毒患者が高止まりしている。特に札幌市が患者の6~7割を占めており、同市は今月から自宅で検査できる郵送検査を導入した。専門家は、コロナ禍後の人流回復により東京などの大都市からの感染者が道内に流入し、感染が広がった可能性を指摘する。
患者数の推移と特徴
札幌市保健所によると、市内の報告数は2021年の119人から2022年には439人と約3.7倍に増加。2023年には過去最多の470人に達し、2024年以降減少傾向にあるものの高止まりが続く。2025年の報告数は322人で、内訳は男性135人、女性187人と女性が上回る。年代別では男性は40代が約3割、女性は20代が約6割を占めた。
全道でも同様の傾向で、道感染症対策課によると2023年は過去最多の679人。札幌市以外では旭川市や帯広市などで患者が多い。患者全体の約3割が「6カ月以内に性風俗産業の従事・利用歴がある」と回答しており、性風俗店が主な感染経路とみられる。
専門家「無症状患者増加」
梅毒に詳しい「ていね駅前泌尿器科」(札幌市手稲区)の砂押研一院長は「コロナ禍後、東京や大阪などの大都市から感染者が札幌市などを訪れ、感染が広がった可能性がある」と指摘。来院する梅毒患者の約半数は札幌市内の性風俗店を利用したことがあるという。さらに砂押院長は、2025年頃から無症状の男性患者が増えていると説明し、「気づかぬうちに進行し、重篤な症状になることがある。性風俗店などを一度でも利用した人は、検査を受けてほしい」と訴える。
市の対策:郵送検査導入
札幌市では各区の保健センターなどで無料検査を匿名で受けられるが、市保健所は今月15日から郵送検査を開始した。自宅で梅毒とヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の検査ができるキットがウェブ申し込みで届き、血液を採取して返送後、ウェブ上で結果を確認できる。検査は郵送費(550円)のみ自己負担で、対面検査に抵抗がある人や日程調整が難しい人を対象とする。
市保健所感染症総合対策課の古沢弥医師は「梅毒は何度でもかかる。適切な治療を受ければ治るので、感染を広げないためにも早期受診、早期治療を心がけてほしい」と呼びかける。



